新学期が始まって1カ月が経とうとしています。小学校高学年になると「スクールカースト」が登場していじめがグループ化し抜け出しにくくなるケースが多くなります。特に運動会など行事の前後や進路を決めなければいけないストレスがかかる時期は、いじめが発生しやすくなるとも言いますが、とはいえ4~7月の1学期の間は、こうしたいじめから抜け出しやすい傾向も。親としては早いうちに問題を解決して、子どもには楽しく学校生活を送ってほしいと願うことでしょう。

では子どもがいじめにあったら、親はどのように対応したらいいでしょうか。「いじめ対策」「人間関係対策」をお届けする4月の年齢別・小学校高学年向け特集の4回目は、もはや100%に近い子どもがいじめの被害者になったことがあるという時代のなかで、親にできる対応策を見ていきます。

【年齢別特集 小学校高学年のママ・パパ向け/新年度スタート!】
(1)新学期クラス替え“スクールカースト”に注意
(2)女の子は友達を奪う、男の子はウケを狙い貶める
(3)“ぼっち”になるなら、いじめられたほうがいい?
(4)いじめは心の災害だから逃げてもいいというモラルを ←今回はココ!

 子どもの成長に伴い、ママやパパが抱く育児の喜びや悩み、知りたいテーマは少しずつ変化していくものです。「プレDUAL(妊娠~職場復帰)」「保育園」「小学生低学年」「高学年」の4つのカテゴリ別に、今欲しい情報をお届けする日経DUALを、毎日の生活でぜひお役立てください。

小学校6年間を階段の踊り場で過ごした子ども

 『不登校新聞』の編集長石井志昂(いしい・しこう)さんは、「いじめなどで深刻な事態になれば、子どもは親である自分たちに相談してくれるだろうと思う親御さんは多いと思います。でも警察に届け出られた深刻なケースでさえ、相談できていないケースが1割を超えています」と話す。

 そもそも小学校高学年になると、いじめのことに限らず親への反発心が強くなったり、相談すること自体にためらいが出てきたりするものだ。さらに問題なのが、いじめを受けている子どもは親や学校の先生に相談するどころか、逆に周囲の大人に追い詰められている可能性もあるということだ。

 「もちろん、皆さん普通の先生、普通の親なんです。でも今の学校教育制度では、“学校は全員、行かなければならない場所”になっています」(石井編集長)。すると先生や親はいじめられて休みたいという子どもに対し、勉強が遅れるからとか、強くならなければならないからとか、一度休むと不登校や引きこもりになってしまうかもしれないからと、無理やり登校を促すようにもなる。

 小学校6年間、階段の踊り場で過ごしたという子の話を聞いたことがあります。その子は小学校1年の5月ごろから教室に入れなくなった。本人は学校自体行きたくなかったけれど、お母さんが朝学校まで送り、夕方に迎えに来るために、登校せざるを得なかった。仕方がないから、階段の踊り場で6年間過ごしたというんです。確かにこれなら毎日登校していることにはなる。でも、地獄のような6年間ですよね。そういう状況を黙認する学校の体質にも驚きますが、学校だけに縛られると、子どもにこんなことまでさせてしまうのかとショックでした」(石井編集長)

警察に届け出られた「いじめに絡んだ事件」を見ると、相談しなかったという人が1割以上もいたことが分かる(出典:警察庁発表「平成28年における少年非行、児童虐待及び児童の性的搾取等の状況について」。2013年以降の数値は「いじめ防止対策推進法」に定められたいじめの新定義に基づくもの)
警察に届け出られた「いじめに絡んだ事件」を見ると、相談しなかったという人が1割以上もいたことが分かる(出典:警察庁発表「平成28年における少年非行、児童虐待及び児童の性的搾取等の状況について」。2013年以降の数値は「いじめ防止対策推進法」に定められたいじめの新定義に基づくもの)

<次のページからの内容>
・ 学校を休みたいと言えないから、死ぬしかないと思ってしまう
・ 心の災害が起きたら逃げていい
・ いじめられたらメモする習慣
・ あいさつの声が大きい先生に相談する
・ 「最近、学校どう?」「変わったことない?」と毎日声かけ