4歳になるひとり息子を、芥川賞作家夫婦で育てながら超多忙な日々を送る川上未映子さん。仕事、お金、子育て、美容。健康、暮らし、人間関係。しあわせやよろこびだけでなく、おそろしいこと不安なこと、そして思わず、びん詰めならぬゴン詰めたくなる世間のあれこれを綴ります。人気コラム『川上未映子のびんづめ日記』シーズン2、全16回でお届けする第11回目のテーマは、「夫へのあきらめ」です。

 人生は一度きり。悔いのないように、自分の好きなように生きてこそ、なんてことはわかっているけれど、ままならないのが人生よね……今日もフレシネを飲んでそんなことを考えた。

 生きていると「あー、やれん、やれんわ……」と、切なさとしんどさとどうしようもなさが混じった感嘆とともに、大阪弁で脱力がっくりうなだれてしまうことばっかりだ。少しまえの「がっくり」はネットで読んだ「せめてお墓は別々にしたい」という記事で、これがなんともやれんのだった……。

家事育児の負担と、離婚したい率

 今現在の離婚率がどれくらいなのかは知らないけれど、「離婚なんか考えたこともない」という夫婦は、かなり少数なのではないだろうか。夫婦ふたりきりなら気持ちも体も余裕があるけれど、子どもがやってきてからは、夫婦の関係は良くも悪くも激変する。子育てという初めての革命的出来事に、お互いに地金があらわになり、幻想は破れ、出会い直しを強いられる。これを乗り越え、信頼関係を継続することができる夫婦であればいいけれど、そうでない夫婦も多いだろう。

 大阪に帰って、かつての同級生たち(出産で会社を辞め、現在はパートで子育て&働き中)と色々な話をしていると、たまたまわたしのまわりだけなのかもしれないけれど──みんなの「離婚したい率」に圧倒される。その原因は、あらためてここに書く気力もないけれど、とにかく共働きであるにもかかわらず母親にかかる家事&育児の負担がものすごくて、しかしどうしたって改善されず、「おかしいやろ、これ、どう考えてもおかしいやろ」という境遇で、満身創痍の日々を送っていることにある。

 数年前でこそ異議申し立て&話し合いなども試みたけれど、今となっては「言うだけ無駄」「話し合うのがストレス」「ならば、もう相手などいないものとして、割り切って生活する」というスタンスに移行しており、基本的にみんな、自分の夫のことがきらいである。

素晴らしいお天気の日に公園へ。補助輪なしの自転車もそろそろか、難しいと言うしな、お互いにつらい日々の始まりかと思いきや!まさかの一回で乗れるようになってサンキューゴッド!!写真は木登り。
素晴らしいお天気の日に公園へ。補助輪なしの自転車もそろそろか、難しいと言うしな、お互いにつらい日々の始まりかと思いきや!まさかの一回で乗れるようになってサンキューゴッド!!写真は木登り。