毒親の定義と根本原理
毒親について知るべく、今回訪ねた加藤諦三教授は、『子供にしがみつく心理』(毎日新聞出版)、『子どもと心の通う親 なぜかスレ違う親』(青春出版社)など、親子関係に関する著作を多数発表している心理学の専門家。また、ラジオの人生相談を約50年にもわたって務めており、数多くの人の親子関係・家族の悩みに耳を傾け、アドバイスをおくってきた。
加藤諦三氏 1938年、東京生まれ。東京大学教養学部卒業、同大学院社会学研究科修士課程修了。早稲田大学名誉教授。現在、ハーバード大学ライシャワー研究所客員研究員。2016年11月、瑞宝中綬章 受章。ニッポン放送系列にて「テレフォン人生相談」パーソナリティーを半世紀近く務めている。著書に『子どもにしがみつく心理 大人になれない親たち』(毎日新聞出版)、『なぜ、あの人は自分のことしか考えられないのか 「ナルシスト」という病』(三笠書房)など多数
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加藤諦三氏 1938年、東京生まれ。東京大学教養学部卒業、同大学院社会学研究科修士課程修了。早稲田大学名誉教授。現在、ハーバード大学ライシャワー研究所客員研究員。2016年11月、瑞宝中綬章 受章。ニッポン放送系列にて「テレフォン人生相談」パーソナリティーを半世紀近く務めている。著書に『子どもにしがみつく心理 大人になれない親たち』(毎日新聞出版)、『なぜ、あの人は自分のことしか考えられないのか 「ナルシスト」という病』(三笠書房)など多数
そんな加藤先生は、毒親をこう定義する。
「毒親とは、自分の心の葛藤を、子どもを巻き込んで解決しようとする人のことです」
加藤先生によれば、子どもに対して毒親になる人は、必ず、自分自身の心の中に、何らかの葛藤や問題を抱えているのだという。
「例えば、子どもが心配でしょうがない、過干渉をやめられないという悩みを訴える親。その人は、本当の悩みから逃避するために、別の悩みを作っているだけなんです。本当は夫婦関係がうまくいっていないなど、別の問題を抱えているのに、そこから目を背けるために、子どもに意識を集中させている」
加藤先生が見てきた他の例では、娘の容姿を「学年一のブスだ」と言う母親がいた。娘は精神科に通うほど深い傷を負ったが、母は、言ったこと自体を覚えていない。この場合の母親は、自分の容姿に劣等感があり、その感情から自分を守るために、娘にひどい発言をするのだという。「本当に相手を見て“ブス”と言ったのではないから、自分の発言は覚えていない」
上記のような構造があるため、一見、周囲から“子煩悩”と評されるような振る舞いも、親が別の問題から逃げるために、子どもに走っているのであれば、それは“現実逃避”であり“自己防衛”。あるいは、束縛欲が激しい親というのは、自分の心の葛藤の解消として「子どもから必要とされることを必要としている」ため、子どもの成長を拒否している状態だ。
また、ネグレクトも、一種のいじめであるため、いじめる快感によって、親が自分自身の欲求不満を晴らしているのだという。このように「毒親は、正確にいえば、“毒親依存症”。毒親であることをやめられない状態を指す」と加藤先生は指摘する。
次ページから読める内容
- 毒親になりやすいのは、現実にコミットできない人
- 子どもに劣等感を持たせる行動は何よりも避けるべき
- 毒親は「どうして…?」という言葉を連発する
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