海外留学先の学費は年間250万~300万円。学費免除の特待生枠を受験

―― 高校卒業後、英国王立音楽院へ海外留学されました。音大というと学費が非常に高いというイメージですが、海外だとどうなのでしょうか。

三浦 EU外から来る留学生に対する扱いは国によって差があって、ドイツでは学費が割と安いのですが、ロシアや英国はEU内の学生と比べて数倍は跳ね上がります。米国も高いですね。

 私の場合、英国王立音楽院の学費免除の特待生枠になんとか入ることができたので、非常に恵まれていました。日本の留学生支援制度も一つ通ったので、そうした援助もあって留学生活をスタートすることができました。

―― 学費免除に奨学金と、三浦さんはすごく親孝行ですね。

三浦 当時は円安ポンド高で、1ポンド200円を超えることもあった時代でした。年間にすると、学費は日本円で250万~300万円くらい。それを4年、私は大学院まで行ったので、6年間分となると、学費は相当な金額になります。加えて、生活費も日本よりずっと高い。これをすべて親に負担してとは、正直言えなかったですね。奨学金や支援の制度を必死に探しました。

―― 英国王立音楽院では、どんな教育を受け、どんな生活を送っていたのですか。

三浦 科目は演奏だけでなく、音楽史や音楽理論などの講義もありますし、指揮法や楽曲の分析といった授業もあります。ただ学部時代の内容については、私が日本で受けていたヤマハの音楽教育が素晴らしかったので、それを英語で学び直すという感じでした。

 苦労したのは、やはり言葉ですね。日本でも英語はしっかり勉強して、TOEICやTOEFLでもそれなりに点数をとっていたのですが、日本で学ぶのは基本的に米国英語なんですよね。英国では、聞き取りもスピーキングも最初は全然できませんでした。

 それに、実際に生活するに当たっては、銀行に行ったり、ガスが止まったときはガス会社にクレームを言ったりしなければいけません。そういうことは座学で学ぶものではないですし、苦労しました。生活に慣れてきたかなと思えたのは、留学して3年目くらいでしたね。

―― 次回は、ピアニストになることの難しさ、収入面についてお聞きします。

(取材・文/日経DUAL編集部 田中裕康 写真/岩澤修平)