13歳で国際ショパンコンクールに初出場。いきなり第1位を受賞

―― 中学受験って、本人にとっても親にとっても大きなイベントですよね。それを、ピアノと両立するのは大変なことですね。

三浦 ええ、今もう一度やれと言われてもできません(笑)。それくらいつらかったです。でも、私の意思で決めた受験でしたし、中高一貫校だったので、ここで頑張れば高校受験はせずにピアノに専念できるという考えもありました。

 当時のスケジュールは、日中は学校に行って、帰ってきたら30分ピアノの練習。それから軽食をとって18時くらいに塾へ。21時くらいに終わって、帰ってから少しだけ勉強の復習をして、22時ごろ寝ていました。もっと勉強もピアノの練習もしたかったですが、親が育児方針として遅くまで起きていることを許してくれませんでした。限られた時間にできるだけ集中する力というのは、このときに養われたなという思いがあります。

―― そんな中で、志望校だったフェリス女学院に見事合格されたわけですね。

三浦 ピアノのレッスンは軽めとはいえ、週2、3回は教室に通っていましたし、週末に合宿で集中的に練習することもありました。受験との両立は今振り返っても大変でしたが、中学ではいい友人もたくさんできましたし、頑張ってよかったなと思っています。

 中学入学後は切り替えてピアノを頑張りましたが、それでも平日の練習は2~3時間というところですね。本気でピアニストを目指す子は平気で5~6時間練習しますから、それに比べたら全然足りません。学校が私の家から通学するのに小1時間ほどかかる距離にあったので、朝は早いし、帰ってくるのも夕方です。学校の宿題もあって、勉強もしっかりついていきたかったので、中学受験時ほどではないにせよ、そこまでピアノに時間を割けなかったんです。悪く言えばピアノも勉強も中途半端で、自分の中で常にモヤモヤした気持ちを抱えていました。

―― そんな中、本気でピアニストを目指そうと思った出来事があったそうですね。

三浦 中学1年の終わりに、初めて海外のコンクールに出場させていただいたんです。それまでは、一生懸命練習はしているけれど、クラシックの本場で私の演奏が通用するのかどうかというのは、見当もつきませんでした。ドイツの「ゲッティンゲン国際ショパンコンクール」という大会で、18歳以下のジュニアの部に13歳で出場したのですが、結果として第1位を受賞したんです。

 私も本当に驚いたのですが、演奏を聴いてくださったお客様や審査員から大きな拍手をいただいて、「よかったよ」「素晴らしかった」というような声をかけてもらえたんです。自分のピアノで、知らない国の大人たちがこんなに喜んでくれるんだと感激して、やっぱり私はピアニストになりたい、と思えたんです。

 その後、高校に上がるくらいの年ごろになると、クラシック音楽というのがいかに素晴らしく、人類が残した偉大な芸術遺産であるかということが理解でき始めて、このことを多くの人に伝えたい、と思うようになりました。それからはピアノの練習もより主体的に取り組むようになりましたね。