子どもについ感情的になってしまう/過干渉になってしまう

 自らの子育てにおいて、「あなたは自分自身が『毒親』だなと感じる/心配になることはありますか」という質問には、55.5%が「よく心配になる」「たまに心配になる」と回答した。

 心配になると回答した人に対し「どんなときに『毒親』だと感じる/心配になりますか」ということを自由回答で聞いたところ、以下のようなコメントが集まった。大きく分けると「感情的に怒鳴る、暴力」「過干渉」「ネグレクト」「子どもの態度や顔色から気づいた」などの特徴が挙げられる。

つい過干渉に

・自己中心で価値観を押しつける。

・創作教室に通わせているが、家でもできるようなイタズラ書きのようなものを作ってきた時に、先生の指導への失望もあって、「こんなの作ったことにならない」などと言ってしまい認めてやれない。

選択肢を与えつつも、答えはひとつの時。

・進路やメールの返信内容まで口出ししてしまう。

子どもがしていて危なっかしいことや、もどかしいことにすぐに手を出してしまい、補助をしてしまう。汚されて困ることは親の都合だが、子どもにさせないようにしてしまう。

・自分の着せたい服(ヒラヒラスカートなど)を着せ、夫に指摘されたとき。また、小学校受験させたとき、娘が地元の小学校に行きたかったのに、と呟いたとき。

感情的になってしまう

怒鳴ったり、「◯歳になってそんなこともわからないの? 頭大丈夫?」のような言い方をするとき。

・自分の都合や気分で子どもに接してしまったとき。理不尽に怒ったり泣いたりすることで、子どもが困惑しているように感じたとき。

子どもの人格否定するような言葉をかけてしまう。本人のやる気を削ぐような自分本位の発言をしてしまう。

・子どもの人格否定、気分で怒り過ぎる。

・脅迫するように怒ってしまう時。人格を否定するような叱りかたをするとき。

・子どもに「クズ」「バカ」と怒鳴りつけるとき。やることをやらないときに「クズ」、考えずに適当なときに「バカ」と言ってしまいます。回数があまりに多いので、怒鳴りながら『毒親なんだろうな』と感じています。

・生理前になるとどうしてもイライラする事が多く『もうしらない!』や『出ていきなさい!』等の発言をしてしまう事があります。

子どもの顔色・態度にハッとする

・一番上の長女に期待しすぎてしまって、子どもがプレッシャーに押しつぶされたのか、精神的に参って倒れてしまった。

・長女が母親の私の顔色をうかがう。私の意見を聞いてから決断をしようとするとき。

子どもが必要以上に自分に対して怯えているように感じることがある。春休みで、一日に設定させた勉強やお手伝いのノルマが出来ていなかった場合など、涙目で自分を出迎えてくることがあり、そこまでプレッシャーをかけているのかと、申し訳ない気持ちになる。

もしかしてネグレクトと心配になる

・疲れていて何もしたくないとき、適当なご飯や寝かしつけが遅くなると感じる。

子どもがもともとあまりほしくなく、産んだ後も育児の大変さに音を上げ、かわいいとは思うけど産まなければよかったと感じてしまうとき。

・話しかけられても家事が忙しくて相手にしない、泣いていてもすぐに慰めない。子どもに冷たいと感じる。

・付き合いが悪い。甘えからくる長いふざけに付き合うのが面倒になると、そんなにふざけるならもう知らないよと本気で突き放してしまうことがある。

・泣いていても抱っこしない。泣いてすぐ抱っこすると甘やかしになる、と聞いていることもあり、放置。しかしますます泣き叫ぶので、さんざん泣かせた末に抱っこする。子どもがなかなか言うことを聞かないと、腹の底から声を出して大声で怒鳴る。たまに、自分はヤクザか、と思うくらい。泣いていると、わざともっと泣かしたくなる。いじめっこ気質なのかもしれない。

 今回アンケートを実施し、DUAL読者の少なくない人が親とのつらい経験を抱えていたり、自らの子育てで「毒親かな…」と悩むことがあったり…ということに、驚きの気持ちもあった。が、その一方で、この話題をテーマにDUAL編集部や関係者で話をすると、家庭や仕事を持ち幸せそうに見える人でも、「実は…」と本人や配偶者が親、子どもとの関係で色々な事情を抱えていることが分かった。

 「もともと親子関係というのは確執があるもの。親子は分かり合えない、というのは、昔からのことです。だから親子関係について、あまり幻想を持たないほうがいい」

 心理カウンセラーの下園壮太さんもこう指摘する。

 普段、同僚や友達ともなかなか話題にしにくいであろう、親子の複雑な関係。第2回からは、心理学の専門家や毒親について研究している人などへの取材をもとに、「毒親とは何か、なぜ毒親になってしまうのか」「毒親から脱出する方法」「母娘の複雑な関係」などについて考えていく。

(構成/日経DUAL編集部 砂山絵理子 イメージ写真/鈴木愛子)

※4ページ目、1段落目に記載した「71.6%」は「55.5%」の誤りでした。お詫びして訂正します。記事タイトルも「『親が毒親だった』『自分が毒親かも』いずれも7割」から現タイトルへ修正しました。(2023年9月12日)