「基礎的な成長」から「教育」への過程 親の適切な関わりが大事

 子育て支援の現場に約10年いて感じるのは、子育て環境が年々変容していくこと。同時に、親子関係や悩みも大きく変わってきています。

 入学すると大きく変わるのが、「学校」という教育の世界に飛び込んでいくこと。子育てと教育の本質は、ともに「子どもを育てる」ことです。しかし、私は教育委員会の仕事をしている中で、未就学期から学童期へ移る際の「子どもを育てる」課題の変化を感じ、そこには大きな「溝」があるように感じています。

 幼児期は「遊びが仕事」であり、一個人として自分らしくいることを肯定することができたことでも、学校に入るとある程度の「周りとの足並みをそろえて一緒に学ぶこと」が一つの課題になってきます。学校生活において、少しずつ個人から集団で学ぶこと、その集団生活に適応していくことがこの時期には求められるのです。

 また、道徳の授業も始まり、たくさんのクラスメートや先生などのいる学校という社会で、体感しながら学ぶ「道徳観」も著しく伸びていきます。自然や日常生活での体験学習もとても大切です。遊びが仕事であったときの様々な経験が子どもの興味を育み、それが学びへとつながることへの大きな変化を感じていく時期でもあります。「学ぶ楽しさ」を感じていくスタート地点ともいえるでしょう。

 「基礎的な成長」から「教育」へと変わる過程で、ある種の溝を感じることは当たり前のことなのですが、多くの子どもはその環境の変化に戸惑います。例えば、保育園と幼稚園、こども園で多様な生活を送ってきた子どもたちが、入学後「学校」という一つの場所に入り、一斉に、同じ時間、決められたカリキュラムで学ぶ。その変化に戸惑うお子さんもいます。その中で自分自身がうまく歩調が合わなかったときに、子ども自身が戸惑い、迷いを感じ始めます。これが、「小1プロブレム」というものです。

 学ぶことにも個人差があり、それも個性です。その中でも、子どもたちは今まで感じなかったことを感じ始めます。テストでもらう初めての100点、隣を見たら、あの子は80点…。他者と比べる視点も加わり、◎○△という評価の世界にも突入していきます。子どもはそうした変化を受け入れて、自分自身の主体性を持ち伸びていく発達段階に入っていくのです。

 このような変化の過程で、「あなたは、あなた自身のペースで進めているね。それでいいんだよ」としっかり受け止めて、子どもの自己肯定感をつくってあげられるかどうかは、親や周囲の関わり次第。子どもの視点に立ち、気持ちに寄り添ってあげることが、低学年の時期にはより大切になっていきます。親は子どもの「自律」を支える伴走者でありたいものです。