小学校高学年になると、学校では「スクールカースト」が登場してきて、いじめがグループ化し、なかなか抜け出せなくなるケースが多くなります。特に女の子の間ではコミュニケーション能力の差がいじめを生みやすく、これ見よがしな悪口に始まり、友達を奪うなど仲間はずれをするようになるといいます。また男の子の場合、「ウケ狙い」のいじめが横行し、暴力を伴うケースも。

ではこうしたいじめを受けたら、どのように対応すればいじめはやむのでしょうか。「いじめ対策」「人間関係対策」をお届けする4月の年齢別・小学校高学年向け特集の3回目は、もはや100%に近い子どもがいじめの被害者になったことがあるという時代で、1日でも早くいじめから抜け出すにはどうしたらいいのか。12カ月の間でも、1学期にはどんないじめが起きやすいのかを含め、対策を見ていきます。

【年齢別特集 小学校高学年のママ・パパ向け/新年度スタート!】
(1)新学期クラス替え“スクールカースト”に注意
(2)女の子は友達を奪う、男の子はウケを狙い貶める
(3)“ぼっち”になるなら、いじめられたほうがいい? ←今回はココ!
(4)いじめは心の災害だから逃げてもいいというモラルを

 子どもの成長に伴い、ママやパパが抱く育児の喜びや悩み、知りたいテーマは少しずつ変化していくものです。「プレDUAL(妊娠~職場復帰)」「保育園」「小学生低学年」「高学年」の4つのカテゴリ別に、今欲しい情報をお届けする日経DUALを、毎日の生活でぜひお役立てください。

“立ち位置探し”からいじめが始まる

『不登校新聞』石井志昂(いしい・しこう)編集長。自身も中学2年生から不登校を経験。17歳から不登校新聞社の子ども若者編集部として、19歳からスタッフとして全国不登校新聞社に勤務。10年以上、不登校・ひきこもりの当事者、親、識者への取材を続けている
『不登校新聞』石井志昂(いしい・しこう)編集長。自身も中学2年生から不登校を経験。17歳から不登校新聞社の子ども若者編集部として、19歳からスタッフとして全国不登校新聞社に勤務。10年以上、不登校・ひきこもりの当事者、親、識者への取材を続けている

 いじめはいつ、始まるのか。

 『不登校新聞』の編集長石井志昂(いしい・しこう)さんは、「子どもはクラスの中での自分の“立ち位置”を見つけなければならない。その立ち位置に応じた役割を、その後、クラスの中で担っていかなければいけなくなるのが今の子どもたち」だという。

 第1回で紹介した通り、石井編集長によれば女の子は小学校の高学年から、男の子だと中学生くらいから、クラスの中で自分が所属しているグループがすべてスクールカースト化されるようになる。どのグループに属したかによって、立ち位置が決まり、「誰かのことを悪く言う場合でも、自分の立ち位置に沿った言い方をするなど、立ち位置に沿った行動を取るようになる」(石井編集長)のがスクールカースト内に生きる子どもたちというわけだ。

 例えば、クラスカーストが5つあったとして、その一番目のグループに属していながらも、本人はグループ内では一番下にいて普段はグループの仲間からからかわれるような立場だったとする。それでも自分たちより下位グループの子たちのことは、言うなれば“上から目線”で評価しなければならなくなる。「そうしないと、上位グループのメンバーの子たちは、自分たちの“立ち位置”が保てないんですね」と石井編集長は指摘する。

 となると4月、5月はある意味、いじめの始まりの季節だ。クラスの中のグループが固まっていくのは、年度の始まるこの時期がメーンだからだ。

 自身の体験からいじめ対策を紹介するサイト『いじめと戦おう!~対策と克服法~』を運営し、これまでに800人以上の相談に応じてきた玉聞伸啓(たまき・のぶひろ)さんは、「いじめには時期によって傾向がある」と言う。玉聞さんは著書『いじめから脱出しよう!』(小学館)で、月ごとの特徴的な相談のやり取りを追いながら、いじめっ子がなぜいじめを始めるのか、エスカレートしていくのかを明らかにし、いじめから自分を守る方法をアドバイスしている。

 同書によれば、第1回で紹介したような「いじめのショー化」が発生するのは夏休み明けの9月以降。つまり、4月から7月までの1学期期間は、いじめの構図が確立されておらず、リカバリーしやすいともいえる。

<次のページからの内容>
・ 1学期はリカバリーのチャンスがある!
・ 1学期のいじめの傾向一覧
・ “ぼっち”になるくらいならいじめられたほうがいい!?
・ 運動会など行事の前後で起きるいじめ
・ 心の中で言い返す
・ 9月以降、いじめを抜け出しにくくなったら大人の出番