自立に向けた生活習慣 「とがめず・明るく・楽しく促す」親の工夫を
子どもが小学生になると、一人でできることを増やしていけるように、生活習慣を色々と変えていかなければならないと考えている親は多いでしょう。子どもの自立を後押しするために、どのようなところに気を付けていけばいいのでしょうか?
教育評論家の親野智可等さんは、「生活習慣の面で一番大切なのは、生活のリズム。つまり、毎日、同じ時刻に同じことをすることです。特に、寝る時刻と起きる時刻、朝食とその後の快便、この4つの時刻をそろえるようにすることが重要。まずは、この4つをそろえることから始めて、そのうえで、歯磨きや勉強など、他の生活習慣もだんだんそろうようになってくるわけです」とアドバイスします。
同じ時刻にそろえたい4つの生活習慣
□ 入眠
□ 起床
□ 朝食
□ 排便
子どもが自ら行動できるように、親も色々と工夫してあげるといい、と親野さん。
「例えば、最初は決まった時間に、子どもが好きな音楽が流れるタイマーをセットしてみるのがいいと思います。起きる時間や小学校に出かける時間などに、同じ曲を聞いて同じ行動をしていると、『あ、起きる時間だ』『出かける時間だ』と条件反射的に意識するようになっていきます。例えば、下校時刻になると同じ音楽が毎日、流れますよね。それで帰りたくなるのと一緒です」
「ある家では、『うがい』『手洗い』『帽子を掛ける』『お箸セットを流しに置く』という4つのことを、帰宅したら自分でやれるようにさせたかったそうです。そこで、自分がやっているところを写真に撮って、その写真を玄関に貼った。『この順番でやるんだよ』と言って、できたら写真を裏返す。すると、写真の裏には、花まるピースが書いてあるわけです。すると、子どもはうれしいし、達成感もある。これをやり出したら、ほとんどガミガミ言わなくても済むようになったそうです」
朝食後に歯を磨いてほしいのですが、なかなか磨かないということもよくある話。そういうときも工夫によって、磨きやすくしてあげることができます。
「あるおうちでは、お母さんが食器を出すときに、ついでに歯ブラシもテーブルの上に出しておいたそうです。それまでは、毎日『磨かないとダメでしょ!』と言ってばかりだったのが、最初から出しておくと、自分から気づくようになって、自分で歯を磨けるようになったそうです。歯磨きを忘れるというよりも嫌いだという子どもの場合、好きなキャラクターの絵がある歯ブラシにしてみるとか、電動歯ブラシにしてみるといいかもしれません。電動歯ブラシにしてみたら自分で磨くようになったというケースは多いようです」
あの手、この手でやってみて、うまくいかなければ工夫をしてみる。そして、ちょっとでもできたら褒めてほしい、と親野さん。
「『とがめず・明るく・楽しく促す』ことがポイントです。ガミガミと言うのは逆効果。『はいはい、歯を磨くよ~』とか、『はい! 歯磨き開始まで10秒! よーい、どん!』などと促して、色々と工夫してみながら明るく、楽しくやることが大切です」