この数年、大学費用を奨学金で賄ったために、卒業後にその返済で苦労している若者の話がニュースや新聞で頻繁に取り上げられています。今や大学生の2人に1人は何らかの奨学金を利用していますが、日本の場合、給付型の奨学金はまだ少なく、利用者の9割近くは貸与型の奨学金です。わが子が、卒業と同時に多額の借金を背負って社会に出ていく姿など、親であれば誰も望んではいないでしょう。

 すでに高校生の子どもがいて、進学費用の捻出が難しい場合には、奨学金を上手に利用することも大切ですが、まだ子どもが幼い家庭なら、先々のことを考えて計画的に教育資金の準備をしていくことは、親の務めの1つともいえるでしょう。

 生まれたばかりの子どもが大学に進むのは、一般的には18年後。現在小学生の子どもでも、10年前後の長い時間があります。それだけの時間をかければ、ある程度のまとまった教育資金をつくることは、決して難しいことではありません。

 子どもが幼い家庭では先々の教育費の重さは想像しにくいかもしれませんが、「自分たちの学生時代より学費はずいぶん高くなっているし、塾などに通うのも当たり前になっているから、子どもの教育費は本当に大変」と話す親御さんはたくさんいます。

 まずは、どの時期にどれくらいの費用がかかるかを把握して、最もお金がかかる時期に合わせて、どのように準備すればいいかを具体的に考えてみましょう。

進学コースによって、子どもの教育費は大きく異なる

 文部科学省の「子供の学習費調査」(平成26年度)をもとに、学校にかかる費用と、学校外の塾や習い事、参考書などの家庭でかかる教育費の合計を見てみましょう。

 1年当たりの平均額は、小学校は公立が約32万円、私立は約154万円です。中学校は公立が約48万円、私立は約134万円。高校は公立が約41万円、私立は約100万円となっています。

 高校まで公立に進めば、学校関連費は家計から捻出できる範囲ですが、問題は家庭でかける教育費。学年別に見た家庭での補助学習費や学校外活動費も、公立中学の3年生が年間で43万5000円と最も高く、人口の多い都市部ほど、また世帯年収の高い家庭ほど、学校外にかかる教育費が高くなるという傾向も出ています。

 都市部では中学受験をする家庭も多く、実際に経験した母親は「小学校の高学年から受験用の塾に通うと、年間50万~100万円かかるのが当たり前」と話しています。無事に中学・高校と私立に進めば、大学に入る前にトータルで1000万円以上のお金がかかる家庭も少なくありません。

 進学コースについては、各家庭の教育方針や世帯年収を考慮して、夫婦で早めに話し合っておくことが必要でしょう。