こども食堂での時間は、ママにとってもプレミアム

 18時。「さあ、席についてね。みんなでいただきまーす」
 「いただきまーす!」

 この日は小学5年生~3歳の子ども&親14組が参加し、食事が始まりました。

 おいしい~!

 うれしいのが、保護者も一緒に食事できるということ。利用料金は中学生までは無料、大人は300円。例えばわが家なら、「小学生1人0円+保育園児1人0円+大人1人300円=合計300円」というありがたい低価格で、家族3人で食事を取ることができます。

 どのお料理も、本当においしい手作りの優しい味で、子どもが食べやすい味付けになっています。メニューは毎回変わり、子どもたちが好きな「ハンバーグ」や、手間のかかる「サバのカレー焼き」など。季節ごとにメニューが工夫され、3月にはひなまつりのちらしずしが出されたとのこと。こういう気遣いもうれしいですね。品数が多く、ボリュームも満点。デザートも必ずついてきます。

 「ごちそうさまでした」。食事が終わると、ボードゲームをしたり、ピアノを弾いたりして自由に遊びます。

 昔遊びを体験できるのも、こども食堂の魅力です。運営メンバーの中には「昔遊びの達人」がたくさんいらっしゃるので、懐かしいけん玉やお手玉、あやとりなどを教えてもらえます。なかなか触れる機会のない日本の伝統的な遊びを、子どもたちに体験させる絶好のチャンス! 核家族化が進む現代、子どもたちがご年配の方と交流する機会も少ないので、世代を超えて遊べるという点でも貴重な時間です

 高学年の子の中には、宿題を始める子も。何をするかは自由。本人のやりたいことをして過ごします。

 ママたちにとっても、食後にホッと一息つける貴重な時間です。悩みを話し合ったり、子育てを終えた大先輩ママから体験談を聞くこともできます。

 「仕事の後、保育園にお迎えに行って、そこから家に帰って食事を作って…というのがしんどくて。疲れ果て、どうしようかと悩んでいたときに、こども食堂と出会いました。子どもだけでなく私にまで、手作りの温かい料理を出してもらえるのが本当にありがたくって。月に2回だけでも『今日は作らなくていいんだ』と思うと、肩の荷が下りて本当に幸せです」と、ママさんが話してくれました。その目には、涙が…

 この世田谷こども食堂・松原を立ち上げたのは、世田谷区在住の名取順一さんです(下の写真中央)。バリバリの元銀行員で「おとこの台所グループ」代表も務める方です。

名取さん 男って、働いているときは仕事に夢中で、地域とつながりを持とうとしないんですよ。私もそうでした。でもね、リタイアした後に「ぬれ落ち葉」なんて言われるのは嫌だったんです。ひきこもり老人にはなりたくなかったんですよ(笑)。そこで58歳で早期退職をし、世田谷区のコミュニティ「おとこの台所グループ」に入り、地域とのつながりを作り始めました。こども食堂には2~3年前から関心を持っていました。私の親も働いていて鍵っ子だったので、今の子どもたちにさみしい思いをさせたくないなと思って、始めたんです