息子に『少年ジャンプ』を先に読まれたら怒る!?
――威厳があるお父さんというより、子どもと同じ目線な感じがしますね。
片桐:同じです。『少年ジャンプ』を先に読まれたら「お父さんが買ってきたんだぞ!」って怒りますから(笑)。
――(笑)その完璧なお父さんでない感じが、子どもたちにとってはいいのかも。
片桐:完璧じゃないですよ! なにしろ、妻が長男を妊娠しているときからかなりテンパって「やばいよー、親になっちゃうよ~!」といろんな人に相談していましたから。社会的に就職もしていない自分が親になるなんて! もう後に引けない…というプレッシャーというか、一歩進んでしまった感じがしましたよね。ある人には「生まれてきたらどうやっても父親だから、父親でいるしかないよ!」と言われたんですが、生まれた瞬間から「これか~」と思いました。毎日の生活ががらりと変わるし、妻は赤ちゃんに母乳をあげてやっと寝たと思ったらまた起きて…を繰り返すのでヒステリックな状態になるから、もう僕が協力していくしかないんです。
だからたまに亭主関白の人がいると驚きます。「妻と子どもはちゃんと生活しているから、父親はたまに帰るくらいがいいんだよ」と言う人がいるんですけど、「なんだそれ、独身みたいじゃないか! なんなんだ?」と。僕なんて「今日、晩ごはんを食べてくるかどうか早めに言ってください」って毎回言われますからね。「今日、食べてくるかもしれない」なんて言おうものなら「食べてくるの? どっちなの!?」と。
つい先日も、妻に叱られたばかりですよ。次男の補助なし自転車の練習に付き合ってたんですけど、自転車の後ろをつかんで一緒に走っていて、いつ離すかのタイミングが分からなくておろおろしていたら、妻に「勢いをつけたら手を離すの!!」と言われて。「え、いつ、どうやって?」と戸惑っていたら、「もう、どいてなさい! こうやるの!」と。さーっとできてました。あれも恥ずかしかったなぁ…。
――そうやって叱られつつも、家族で過ごす時間を大切にされているのが伝わってきます。
片桐:そうですねぇ。次男はもちろんですが、長男もまだ川の字で一緒に寝ているくらいですからねぇ。
――それも家族仲が良いからこそということで。ところで今後はまた個展が開かれるんですね。
片桐:2016年に続いて『片桐仁 不条理アート粘土作品展「ギリ展」』を開いていきます。今年は北のほうに行けることになりまして、富山県の高岡から始まって福岡、沖縄、仙台、青森も回りますし、千葉でも開催します。Eテレは『シャキーン!』が10年目に入ったんですが、見ている子どもたちを、一筋縄ではいかない子どもにしたいんですよね、多様な価値観を与えるきっかけになればと思いながら続けています。あと5年、10年やったときに、子どものときに『シャキーン!』を見ていた子どもたちが、独自性のある大人になっていったらなと思います。
――ねんどのワークショップも同じような効果がありそうですね。
片桐:そうですね。価値観はたくさんあっていいと思う、独自性のある子どもが育っていってくれたらいいなと思います。
(取材・文/山田真弓 撮影/小宮山裕介)