ワークショップは“ためになるかどうか”より、きっかけとして大切

――ワークショップは、何歳くらいから参加できるんですか。

片桐:1人でやろうと思った場合でも5歳、6歳で大丈夫です。保護者の方が一緒なら4歳からいけますね。ダイナミックにねんどを使うことを伝えて、余ったら角をつけようとか、引き算ではなく足し算の美学で何だか分からないものができることを楽しむようにしてもらっています。

 面白いのはワークショップに参加すると、引っ込み思案だった子でも「あと30分だよ!」と圧迫することで親が焦りだして(笑)、積極的になったりすること。出来上がったものを見ると、「あれがこんなふうになったんだ!」と、思いもしない形にこちらが驚いたりします。

 もともとぼく自身、18年前に作品作りを始めたときに、ただ彫刻を作っても笑えないなと思ったんですね。でもその作品に「実は携帯電話です」とか「実は鉛筆削りです」というギミックを加えることで、「作品としては面白くても使おうとしたら不便でしょう」などという、面白さ、エンターテインメントが加えられると気づいて。図らずもそれを子ども向けにやったときに、大人的な計算を超えたものができてくるのが分かったんです。できない子はいないんですよ。親が手伝うケースも見かけますが、それでも図工が苦手だった子どもが「いやだな」と感じなくなっていくんです。

――上手、下手と評価されるとやる気がなくなりますから、苦手意識がなくなるだけでも大きいですね!

片桐:僕は美大出身なのですが、美大では作品に点数が付いてしまいます。でも成績が良かった人がその後、アーティストになったかというと、全く違う職業に就いていることがほとんどです。

 だから余計に、上手、下手よりも言葉にならないものを作って、それが例えばランタンで使いにくくても面白ければいいんだと思います。

 親御さんは“ためになるかならないか”でワークショップ選びをするかもしれませんが、そうではないんです。ワークショップはきっかけでしかなく、とっかかりさえ教えてあげれば何でもできるようになっていくのが子ども。図工が苦手だったり、絵が得意でなかったりするから嫌だなという子が、楽しめるようになっていくという過程を親御さんにも楽しんでほしいと思っています。