修学旅行で東大を見学できることは少し羨ましかった

島田 月謝は1万円くらいだったと思うのですが、それでも相当無理をしたんじゃないかと思います。母なりに「この子だけ塾に行かせないのはかわいそう」という気持ちがあったのではないでしょうか。

駒崎 部活を諦め、塾を諦めかけたということでしたが、高校に入ってから他にも諦めたことはありましたか?

島田 修学旅行でしょうか。あまり行きたくありませんでしたし金銭的にも無理ですし、聞いた瞬間すぐに「行きません」と担任に言いました。何が何でも行かない、行くくらいなら死ぬというくらい固い気持ちでした。

駒崎 先生はなんと?

島田 一応、形式的に一度だけ「やっぱり行ってみないか」という働きかけはありましたが、僕の意志は変わらないのでそれで終わりでした。

駒崎 友達からは?

島田 学年で280人くらいいたので、僕が参加していないことにすら気付いていない人が多かったと思います。ただ、僕の成績について面白く思っていない一部の同級生からは、「あいつは勉強したいから修学旅行をサボったんだ」と陰口をたたかれましたね。

 あと、やりたかったけれどできなかったこととしては、大学のオープンキャンパスへの参加ですね。ちょっと憧れていたので。でも、往復の交通費を考えると無理でした。実は修学旅行の行き先は東大見学の後に長野でスキーというコースでした。修学旅行に参加して東大を見られることは少し羨ましかったですが、後々の受験で「見学に行けなかったからこそ、受かってやる」というやる気に結びついたかもしれません

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●島田さんのブログ
http://ameblo.jp/prime317/entry-12251996708.html

――「中」編に続きます。

(文/宮本恵理子 撮影/鈴木愛子)