政府の「働き方改革」は、まだまだ甘い

 皆さん、こんにちは、治部れんげです。今年は桜の開花が入学式と重なり、各地で記念撮影する親子の姿を見かけました。通りかかったときにシャッターボタンを押してあげると、うれしそうな保護者や子どもの笑顔を見られて、こちらもうれしくなりました。

 「治部さん、最近はもう、あんまり怒らないんですか?」 そんなふうに聞かれることがあります。本連載は「怒れ!30代。」をテーマにしていますが、そういえば、ここ最近のテーマは「怒り系」ではなく「提案系」が多かったように思います。最近の私は「怒っていない」というより、諦めていたり、言っても無駄と思ったりすることが増えているのかもしれません。それではいけないと考え直し、今回は諦めずに怒っていること、について書きます。働き方の問題についてです。

 政府が主導する「働き方改革」は残業時間の上限規制など、一定の成果が出ています。確かに、「忙しい時期は月99時間59分59秒まで残業できる」という規定では意味がないという批判もあります。ただし、長時間労働が常態化している業種(例えばマスコミ)などでは「この規制が入ったら、うちの会社は確実にアウト」という声も聞きます。規制をかけることにより、残業を隠すといった反応も起きそうですが、まずは大事な一歩を踏み出した、と評価すべきと私は考えています。

 でも、実際に現場の声を聞くと「そんなのは改革とは言えませんよね」という実状が多いです。例えば、在宅勤務の制度。子どもが発熱したときの母親など、ケア責任がある人しか使えない企業がいかに多いか。制度上は誰でも使えても、実際は「ママのための制度」と思われていて、独身の女性や男性は使わない、という話は普通に聞きます。

 そもそも日本企業の在宅勤務制度は、従業員を時間で管理する発想にどっぷりつかったまま。始業と終業時は上司にメールをするとか、自宅にいるとサボっているのではと疑われるとか、正直くだらない話が多すぎると思います。長時間会社にいてもサボっている人はいますし、ただ机の前に座っているだけで成果を出していない人もいるのに、単にオフィスにいないというだけで働いていないと言われてしまう……。

 そんな遅れたマネジメントスタイルを温存したまま、ITシステムだけを導入しても働き方「改革」なんてできないでしょう。