「まさかの事態」に備え、シミュレーションしたり「前向きな名言」を集めたりも

―― 子どもを応援するに当たって、心がけていることはありますか?

「明るくチャーミングなアニーを演じたいです」という会百花さん(左)と「衣裳もすごくゴージャスでうれしいです」という野村里桜さん(右)
「明るくチャーミングなアニーを演じたいです」という会百花さん(左)と「衣裳もすごくゴージャスでうれしいです」という野村里桜さん(右)

野村 専門的なことはよく分からないので、人として当たり前のことを言うようにしています。感謝や周りの人とのコミュニケーションの大切さ、今できることを一生懸命やるしかないんだよ、とか…。大変なのは、オーディションに落ちたときです。どんなに頑張っても報われないときには、まるで失恋のような気持ちになるんですよね、私じゃダメなの?と。子どもには“次にきっといいことがあるよ”と前向きになるような言葉をかけるのですが、実は親も落ち込んでいて、意外に子どものほうが早く立ち直っていたり。なるべくその気持ちを表に出さないように、早く気持ちを立て直すよう意識します。

―― お受験にも通じるものがありますね。親としては、あれだけ頑張ったのになぜ報われないのだろう、と落ち込んでしまう…。

野村 夫と、不合格だったときのシミュレーションもやります。子どもにどんな言葉をかけよう、どちらが迎えに行こう、と夫婦で支え合っていますね。

 うちもオーディションに落ちると、真面目な分、葛藤もあるし、落ち込んでいますが、“今回はたまたまの巡り合わせだよ、きっと百花のことを気に入ってくれる人に出会えるよ”と話すようにしています。それと、娘は前向きな言葉が好きで、自分で色々探してくるんですよ。今は松岡修造さんの日めくりカレンダーを愛用していて、“無理なんて無理”といったフレーズに励まされているようですね。親としては、ふさいでいるように見えたらすぐ“どうしたの?”と声掛けするようにしています。話をするだけでも、本人はほっとするみたいです。

“子役をやってるからこそ学業を頑張りたい”芦田愛菜さんの発想は理解できる

―― 学業との両立はいかがですか?

野村 勉強ができなくなるほどの影響は、今のところはないですね。他の子から色々と言われないよう、ちゃんとやろうと思うみたいです。

 うちはアニーの稽古が始まってから、宿題を1週間分くらい先取りしてやるようになりました。アニーだからできない、というのは嫌みたいで。親のほうが“そんなにやらなくても…”と言っています(笑)。

―― 子役だからできない、と言われたくなくて中学受験を頑張ったという芦田愛菜さんを思い出します。

野村 あんなにすごいところに入らなくても(笑)。でも子役だからと言われるのは嫌で、毎日、一生懸命生きています。

―― お子さんたちはどんな夢を抱いていらっしゃいますか?

野村 娘は“いいお母さんになりたい。そしてお芝居をやりたい”と言っていますが、現実的には、これまで『アニー』を目標としてやってきて、その夢がかなったところなので今後のことはまだ考えていません。この舞台を精いっぱい楽しんで、こちらもそれをサポートできればと思っています。

 うちはアニーを目指してたわけではなく、何か一つ特技が欲しいねということでやってきたのですが、娘は将来的には舞台も映像もできる女優になりたいと思っているようです。そのためにまずはアニーを成功させたい、という思いで取り組んでいますね。

―― 親御さんとしては、どう生きていってほしいと思っていらっしゃいますか?

野村 何かよくないことがあっても、常に自信をもって、幸せを感じながら次のことにエネルギーを傾け、生きていってほしいです。

 人生には色々なことがあって、楽しいことよりつらいことのほうが多いかもしれないけれど、それこそアニーのように、それをマイナスと捉えず、自分で解決する力を身に付けていってほしいです。

『アニー』稽古より (写真提供:日本テレビ)
『アニー』稽古より (写真提供:日本テレビ)