教育や子育てに関する数多くのベストセラーを持つ、教育環境設定コンサルタントの松永暢史さん。数多くの子どもたちを超難関校に合格させた実績を持つ「受験のプロ」が、あえて私立中学受験に警鐘を鳴らします。真に子どもを賢くする教育とは何か? 松永さんならではの「ネットで書けるギリギリの」メッセージを、連載でお送りします。

私立中学に入れることで子どもは賢くなるのか?

 連載のテーマは、「公立中学校で伸びる子」ですね。私にうってつけのテーマじゃないですか(笑)。

 結論から言えば、公立中で伸びるのは、幼児期から児童期にかけて、よく遊び、よく本を読んできた子です。国語力が高く、自分で学ぼうとする子。こういう子は、公立中に限らずどこでも伸びるのです。もちろん私立中学校でも伸びます。本来の意味で「アタマのいい子」になるからです。

 そもそも、公立中に行かせたほうがいいか、私立中を受験したほうがいいのか、という疑問があると思います。正直に言わせていただければ、「公立中に行かせるべきだ」と言い切ることはできません。現在の公教育には様々な問題があり、強くおすすめできない側面もあるからです。これについては、次回ゆっくりお話しします。

 では私立中学を受験すべきなのでしょうか。

 おすすめしたい私立中学はいくつもあります。公立中高一貫校にも魅力的な学校が多いと思います。ただし、塾通いしないで入学できるのであれば、です。

 問題は、学校そのものではなく「塾通い」なのです。現在の中学受験のシステムの中では、小学校時代の貴重な3年間を塾に奪われることになってしまうからです。「真にアタマのいい人」になるための遊びも読書も体験も失ってしまう、これこそが根本的な問題だということを、まずは強調させてください。

教育環境設定コンサルタントの松永暢史さん。数多くの子どもたちを超難関校に合格させた実績を持つ「受験のプロ」が、真に子どもを賢くする教育を考えます。
教育環境設定コンサルタントの松永暢史さん。数多くの子どもたちを超難関校に合格させた実績を持つ「受験のプロ」が、真に子どもを賢くする教育を考えます。