実はパパは料理が得意!? 「料理力は仕事力」
日経DUALが昨年実施した読者アンケートでは、ママがパパに最も期待する家事は「料理」であるにもかかわらず、パパが最も苦手とする家事が「料理」であることが明らかになりました(詳しいアンケート結果・分析はこちら)。
「パパ料理研究家」で株式会社ビストロパパ代表の滝村雅晴さんによると、一般的にパパは料理が苦手と認識されていたり、上記のアンケート結果のようにパパ自身そう思っていたりすることが多いですが、それは単に今まで料理をしたことがないがために効率的な方法やシステムを“知らない”だけのこと。
「私も子どもができるまでは外食中心の生活で、ほとんど料理をしたことがありませんでした。長女が生まれて、育児で外食がだんだん難しくなったある日、料理の本を参考にしながら自分で作ってみたんです。そしたらあまりにおいしく作れたので驚きました。家庭料理というのは何も特別な技術が必要なものではなく、正しいプロセスを踏みさえすれば誰にでも作れるものなんだと目から鱗が落ちました」
滝村さんは「料理力は仕事力である」と説明します。多くのパパがビジネスパーソンとして職場では料理に近いことをしながら業務をこなしており、仕事で気を使う部分はそのまま料理に対置できるからです。
料理力=仕事力
■あるリソースを活用し= 食材
■限られたスケジュールで= 夕食までに
■マルチタスクでプロジェクトを進行し= 何品も同時に
■クライアントに対して= 家族に
■最適なソリューションを提供する= おいしい!と笑顔!
■実行後、検証/原状回復する= 後片付け/ごみ出し
■次の準備/在庫管理・補充を行う= 買い出し
「いかがでしょうか? 料理は会社の仕事に比べて短いスパンで結果が出るので、エンジニアのような業種の方など意外とハマる人は多いんですよ」
とはいえ、料理は「仕事」とは違って、誰が何をしなければいけないというルールはありません。
「子どもがおなかをすかせていたら、担当は誰かなんていうのは関係なく自分が作る。目の前にごみが落ちていたら、『それを拾うのは清掃業者の仕事だ』と放置しますか? 明らかに自分がごみ箱に捨てるのが効率的だったらきっと拾いますよね。こういうマインドが身に付いていれば、いちいち考えなくても行動するわけです。考えるよりも先にごはんを作るようになるのが理想の形。ママとパパの間ではっきりと『役割分担』してしまうのではなく、状況に応じてお互いが手を差し伸べ手を動かす『役割判断』をするべきだと思います」
滝村さんが料理を始めるきっかけとなった長女は、5年前、8歳8カ月で病気のために天国へと旅立ちました。旅立つ前の1カ月間は食事を取ることもままならず、点滴だけで栄養を保つ状態だったといいます。「仕事から疲れて帰ってきて慣れない料理をするのはとても大変なことかもしれませんが、食べてくれる人がいて、家族が一緒に食卓を囲むのは、それだけで幸せなことだと思います。ぜひ料理を作ること、みんなで食べることを楽しんでみてください」