栄養バランスを考え、子どもや妻のために作るのがパパ料理

 「料理は基本を学べば誰にでも作れますが、料理にも服装と同様『TPO』という概念があることを覚えておきましょう。いくらおいしい料理でも、時・場所・状況にふさわしくなければ意味がないということ。私はパパが作る料理のTPOを下記の5つに分類して考えることにしています」と滝村さんは話します。

パパが作る料理のTPO

➀ 自炊のための料理
② 趣味の料理
③ イベント料理
④ 家庭料理
⑤ 介護料理

 「➀は自分が自分で食べるために作る料理のこと。これは仮に粗末な料理であったとしても、自分さえ納得していれば何の問題もありません。②は自分が“楽しみ”として作る料理のこと。そば打ちや、燻製作りなどがその典型ですね。基本的にコストや手間暇、カロリーなどを度外視して作ることが多いので、日常の食事作りには向きません。③はハレの日の料理で、正月やひな祭り、誕生日や記念日などのお祝い事の際に作る料理。これも毎日作る料理ではありません」

 そして日常の食卓のために作る料理が④です。「時間やコスト、栄養などのバランスを考え、育ち盛りの子どもや妻のために作る料理のことです。今回の特集で提案するのはまさにこの料理のことであり、私は『パパ料理』と名付けています。最後の⑤は病気や高齢者の家族のために作る料理のことです。これも自分が食べたいもの、自分が作りたいものとは違った視点からメニューを考える必要があります」

 料理の楽しみを覚えたばかりのパパが陥りやすいのが、②と④の混同だといいます。

 「私も身に覚えがありますが、つい自分本位になって高価な食材を買ってきては手のかかった料理を作りたがってしまうんですね。最初においしくできた経験がある人はジャストミートの感触が忘れられず、毎打席ホームラン狙いで大振りする打者みたいなものです(笑)。家庭料理、つまりパパ料理で大事なのは手間とコストを抑えつつ、味と栄養バランスの優れたシングルヒット。趣味の料理をすることが悪いわけではありませんが、それはあくまでも遊びの延長であるという自覚が大切だと思います。材料の調達や下ごしらえ、食器洗い、ゴミ捨てなど、準備と後片付けも必ず自分でやるようにしましょう。それを含めてが、パパ料理だと言えます