小学校高学年になると、学校での様子をなかなか報告してくれなくなるお子さんも多いようです。でも実はこの年齢から大きな問題になりやすくなるのが「いじめ」です。学校では「スクールカースト」が登場してきて、いじめがグループ化し、なかなか抜け出せなくなるケースが多いといいます。

ではこうしたいじめは、男女間で差異はあるのでしょうか。「いじめ対策」「人間関係対策」をお届けする4月の年齢別・小学校高学年向け特集の2回目は、女の子のいじめの特徴、男の子のいじめの特徴をそれぞれ見ていきます。

【年齢別特集 小学校高学年のママ・パパ向け/新年度スタート!】
(1)新学期クラス替え“スクールカースト”に注意
(2)女の子は友達を奪う、男の子はウケを狙い貶める ←今回はココ!
(3)“ぼっち”になるなら、いじめられたほうがいい?
(4)いじめは心の災害だから逃げてもいいというモラルを

 子どもの成長に伴い、ママやパパが抱く育児の喜びや悩み、知りたいテーマは少しずつ変化していくものです。「プレDUAL(妊娠~職場復帰)」「保育園」「小学生低学年」「高学年」の4つのカテゴリ別に、今欲しい情報をお届けする日経DUALを、毎日の生活でぜひお役立てください。

仲間はずれ・無視・陰口…いじめの種類

 小学校高学年のいじめは、低学年・中学年のいじめとは違い、抜け出しにくくなる──いじめ問題に詳しい「不登校新聞」の編集長石井志昂(いしい・しこう)さん、いじめ対策を紹介するサイト『いじめと戦おう!~対策と克服法~』を運営し、これまでに800人以上の相談に応じてきた玉聞伸啓(たまき・のぶひろ)さんは口をそろえる。

【前回のまとめ】

・低学年、中学年までのいじめは一人のいじめっ子がいじめを行う“いじめのソロ活動”が多いが高学年になるとクラス内に明確にグループができる
・グループができると、グループ間のスクールカーストが明確する
・スクールカーストのグループ上位から下位に向けてのいじめが日常化する
・グループによるいじめはショー化しやすく、いじめに参加していない子どももいじめを「楽しむ」状況に陥りやすい
・高学年になり理論武装するようになった子どもの言い訳により、先生は「いじめられている子にも悪いところがある」と考えやすい状況
結果、高学年のいじめはどんどん抜け出しにくくなる

 ではいじめと認識されるのはどのような行為なのか。

 日経DUALで2016年11月に公開したアンケートでは、58人の回答者のうち、どのようないじめを受けたかという質問に対し、「言葉で攻撃されるもの」「仲間はずれや無視」「軽い悪口」「暴力を伴うもの」「物を隠された」「捨てられた」「奪われた」といった回答が見られた。

 文部科学省では『「いじめ」とは、「当該児童生徒が、一定の人間関係のある者から、心理的、物理的な攻撃を受けたことにより、精神的な苦痛を感じているもの。」とする。』と定義している。また2016(平成28)年6月生徒指導・進路指導研究センターによる『いじめ追跡調査2013-2015いじめQ&A』を見ると、いじめの項目として下記のようなものが挙がっている。

【精神的いじめ】
・仲間はずれ・無視・陰口
・からかう・悪口

【暴力・非行的いじめ】
・軽くぶつかる・たたく・蹴る
・ひどくぶつかる・たたく・蹴る
・金銭強要・器物損壊

【不特定多数からのいじめ】
・パソコン・携帯を使った誹謗・中傷やいわゆるネット上のいじめ

 ではこうしたいじめはどのように始まるのか。男女間での違いを含めて見ていこう。

<次のページからの内容>
・ 聞こえるように悪口を言う女の子
・ リーダー格の子が“むかつく”と思ってからいじめが起きるまでにはタイムラグがある
・ “面白ければOK”になりがちな男の子のいじめ
・“プロレスごっこ”など一見悪ふざけに見えるやりかたで暴力が横行
・ いじめる子たちはいじめの対象となる子をなぜか「ばい菌扱い」したがる
・ 子どもは友達を奪われるのが怖い