小学校高学年は「思春期の入り口」。難しい年ごろに差し掛かり、学校生活で何か困ったことがないか気になって声をかけても「うるさい」「うざい」と口答えされたり、無視されたり、「反抗期」を感じる瞬間も増えてくるでしょう。家庭で戸惑うことが増えるということは、実は本人が学校で戸惑う瞬間が増えているということなのかもしれません。高学年になると、友達関係にも変化が出てきます。特に親が気になるのが「いじめ」問題。昨日まで仲良くしていたお友達が、突然うちの子を避けるようになった…、クラス替えで新しいお友達ができていないのでは…。そんな不安を感じる場面にも出くわすかもしれません。

 そこで4月の年齢別・小学校高学年向け特集は、「いじめ対策」「人間関係対策」をお届けします。高学年になると、どんないじめが表出してくるのか。まずは知ることで防衛策を身に付けましょう。

【年齢別特集 小学校高学年のママ・パパ向け/新年度スタート!】
(1)新学期クラス替え“スクールカースト”に注意  ←今回はココ!
(2)女の子は友達を奪う、男の子はウケを狙い貶める
(3)“ぼっち”になるなら、いじめられたほうがいい?
(4)いじめは心の災害だから逃げてもいいというモラルを

 子どもの成長に伴い、ママやパパが抱く育児の喜びや悩み、知りたいテーマは少しずつ変化していくものです。「プレDUAL(妊娠~職場復帰)」「保育園」「小学生低学年」「高学年」の4つのカテゴリ別に、今欲しい情報をお届けする日経DUALを、毎日の生活でぜひお役立てください。

いじめが“ソロ活動”から“グループ化”する高学年

 「子どもが生きている社会は、見た目以上に残酷だということを知っていただきたい。学校に行くということは、いじめる・いじめられるという世界に入っていくことでもあるんです」と話すのは『不登校新聞』の編集長石井志昂(いしい・しこう)さん。

 小学校高学年になると、学校そのものに戸惑うことはなくても、友人関係に戸惑い、悩むことが増えてくる。クラス替えで仲の良い友達と離れたら、誰と休み時間を過ごしたらいいんだろう。グループ分けのときに、一人ぼっちになったらどうしよう。そんな不安を抱える子どもも多いはず。親から見ても、今まで普通に付き合っていた友達との関係が、急に対等ではなくなっているように感じるシーンにも出くわすかもしれない。

 2016(平成28)年6月生徒指導・進路指導研究センターによる『いじめ追跡調査2013-2015いじめQ&A』によれば、いじめの被害を受ける人は、小学4年生から中学3年生までの6年間で、100%に近くなる。いじめの加害をしたという人も、80%以上と記録されている。しかもこの記録によれば、いじめはクラス替えの有無関係なく起きていることが分かる。

 例えば下記の表は2013年度の小学4年生が2015年度に6年生になるまでの3年間、6回の調査時点における継続状況のうちの「仲間はずれ、無視、陰口」のデータを示したものだが、6回とも「全然なかった」と答えた児童の割合は、被害経験では調査対象となった644名中の74名(11.5%)、加害経験では644名中の138 名(21.4%)。3年間で多くの児童がいじめに巻き込まれていることが示されている。

出典:文部科学省国立教育政策研究所 生徒指導・進路指導研究センターによる『いじめ追跡調査2013-2015いじめQ&A』
出典:文部科学省国立教育政策研究所 生徒指導・進路指導研究センターによる『いじめ追跡調査2013-2015いじめQ&A』

<次のページからの内容>
・ 中学年くらいまでのいじめは、“ソロ活動”が多いが高学年はグループ化する
・ 学級崩壊を恐れる先生がさらにいじめを見えにくくする
・ 高学年、スクールカーストが明確化
・ コミュニケーション能力が高い層が上位グループになりやすい
・ きっかけは“何かむかつく”“臭い”などと全く根拠のない理由
・ ショー化し、抜け出しにくくなる高学年のいじめ