「うちの子はひとりっ子だから積極性が足りない」「妹はしっかりしているのに、お兄ちゃんときたら……」――。わが子について、そんなふうに考えてしまったことはありませんか。子どもの性格は、きょうだい構成によって変わるものなのでしょうか。今回DUALでは、ひとりっ子やふたり以上のきょうだいの育て方について特集します。

 特集に先がけて行った読者アンケートには、356件もの回答が集まりました。ひとりっ子を持つ親ならではの悩みや、きょうだいを持つ親からの疑問にお答えいただくのは、育児書を数多く出版している心理学者、自身も4人の子どもを持つベテラン保育士、DUALでもおなじみのチャイルド・ファミリーコンサルタントなど、子育ての問題に長く関わっていらっしゃる方々です。また、番外編として、年の離れたきょうだいを育てるママたちのインタビューもお届けします。

 5回目の記事では、きょうだい・ひとりっ子の性格や、それぞれの育て方について。読者アンケートから、「上の子」「下の子」「ひとりっ子」などの性格の特徴が見えてきました。専門家に、上の子の育て方、下の子の育て方についてアドバイスを聞きました。オススメの職業は? 恋愛は? などにも触れています。

【ひとりっ子の育て方、きょうだいの育て方 特集】
第1回 「ひとりっ子はわがまま、上の子はしっかり」は本当?
第2回 ひとりで過ごす時間がクリエーティブな力を育む
第3回 「ひとりっ子でごめん」「かわいそう」と言わないで
第4回 きょうだい間の競争は人生最大のリスク
第5回 親の緊張が伝わる第一子 甘えさせてあげて ←今回はココ
第6回 6~10歳差も! 年の差きょうだい、どんな感じ?

 4回にわたって特集してきた、ひとりっ子ときょうだいの育て方。ひとりっ子の親ならではの悩み、きょうだいを持つ親ならではの悩みを紹介してきたが、読者アンケートからは、子どもの性格についての回答に、ある共通点が浮かび上がってきた。

 赤い棒グラフはひとりっ子、ピンクの棒グラフは2人きょうだいの第一子、オレンジの棒グラフは3人きょうだいの第一子を示している。このグラフによると、「リーダーシップがある」「責任感が強い」「しっかりしている」などの項目について、2人きょうだい、3人きょうだいを問わず、第一子が当てはまると回答した親が多いことが分かる。また、「一人でいることを好む」「競争意識がない」などと言われがちのひとりっ子だが、「協調性がある」「負けず嫌いである」などの項目は、きょうだい児と比べても回答比率に差はなかった。

アンケートは2017年03月07日(火)~2017年03月23日(木)に実施。356人(女性327人、男性29人)が回答。回答者の平均年齢は41.2歳。第一子の年齢の平均は6.6歳。※子どもの性格で当てはまるものを選んでもらった上の質問で、第2子、第3子の値が全体的に低いことは、当該の子どもがまだ小さかったりして、「当てはまる」か分からない親が回答しなかった、ということも一つの要因として考えられる。

 もう一つの特徴は、ひとりっ子と第一子についての回答が、比較的似ていること。これはどう分析すればよいのだろうか。

第一子には親の不安や緊張が伝わりやすい

 教育カウンセラーで『ひとりっ子の育て方』(WAVE出版)などの著書がある、明治大学文学部の諸富祥彦教授は「第一子とひとりっ子は、どちらも親にとって初めての子という共通点がある」と話す。初めての子ということで親との関わりが深く、親を含めきょうだいや友達と協調して生活できる、上の子がいないのですべての出来事が初めてで、好奇心を持って取り組める、親の期待を感じるからこそ、負けず嫌いで頑張り屋になるという性格になるのかもしれない。一方で、初めての子育ては親にとっても緊張が伴うもの。

 「親の緊張が子どもに伝わるので、第一子は不安や緊張が強くなりがちです。特に、男の子にはそうした傾向が多く見られます」(諸富教授)

<次ページからの内容>
・親の性格、きょうだい構成で違う?
・十分に甘えることができた子どもはタフに
・下の子の子育てで注意しなければならないこと
・きょうだいの男女構成で性格は変わる?
・「現代風子育て」仲良しきょうだいが育つ!