こうあるべきといった、これまでの父親像に縛られることなく、それぞれの家族にとって最適なカタチを模索しつつ、妻と共に自分らしく育児を楽しんでいる。そんなパパたちに、子育て中のパパライターがインタビューするこの連載。自身が追い求める理想の父親像と共に、育児や家族への考え方、仕事観などについてお話をお聞きします。

 第1回目は、TBSテレビの番組プロデューサーという多忙な日々を送りつつ、パパが積極的に子育てに参加することを提案する「スーパーダディ協会」代表であり、『スーパーダディ ビジネスマンの勧め』の著者でもある、高橋一晃さんです。

(上) 妻に思う存分働いてもらったほうが、家のためになる
(中) 妻も娘も寝静まった夜 夫の「ゆる家事」が始まる
(下) 子育ても仕事と同じ “人ごとではない”という意識を ←今回はココ

子育てのこだわりは、「子どもに媚びない」こと

—— 高橋さんは、子育てに関してこだわっていることなどありますか?

高橋 僕は、「子どもに媚びない子育て」をしようと思っています。だから、“大人の感覚”をそのまま、わが子にぶつけようと。例えば、言葉にしても、息子にクルマのことを1回も「ブーブー」と言ったことはありません。わざわざ幼児言葉を使わなくても、最初からクルマって言えばいいじゃんって思っていますから。大人の言葉と大人の世界。これに小さいころから接するようにして育てていくことが大切なのではないか、と。

 そういう意味で言うと、少しだけ“子どもに無理をさせる”ことも大切なのかな、と思っています。現在、息子は私立の小学校に自宅から電車に乗って、40分以上かけて通っています。最初は付き添って送っていましたが、今は一人で電車通学できるようになりました。

—— 高橋さんのお子さんはこの春まで小学1年生。この1年間、小1の壁を経験したわけですが、どうでしたか?

高橋 正直に言えば、あまり小1の壁って意識していませんでした。でも、私立の小学校に通うなかで、学童をどうしようかということで、民間学童はけっこう調べました。ところが民間の学童だと、お金の面で大変ですよね。延長するだけで追加料金がかかるし、送迎サービスなどを利用すると、さらに上乗せになりますから。

 公設の学童は18時くらいで終わるところが多いと聞いていたのですが、自宅のある自治体の学童は、19時半まで預かってくれることが分かったので、区の公設学童に通わせています。小学校が終わると、一人で電車で移動して、地元の学童に通っています。小学校ではけっこうな量の宿題が出るので、学童でやっているようです。

—— 小学校でも学童でもうまくいっていそうですね。

高橋 小学校は、女子が多い学校なのですが、強い女子にもまれながらもたくましく育っているようです(笑)。遠足などのイベントには親も参加できることもあるので、なるべく参加するようにしているのですが、見ていると、やっぱり女子って強いなあ、と思いながらも見守っています。

 親からすると、今の小学校生活は幼児期と比べると、ずいぶん手間がかからなくなりました。小学校入学までは、送り迎えを何とか夫婦でやりくりしながら苦労してきましたが、今は、19時半まで預かってもらえますから、かなり楽になりましたから。

 息子はだいたい、19時くらいまで学童で過ごして帰宅しますが、それまでに僕か妻のどちらかが帰宅する。息子が自力で移動できる力がついたからこそですが、夫婦間での子育てシフトがとても組みやすくなりました。

高橋一晃さん パパが育児・家事に積極的に参加することを提案するパパ集団「スーパーダディ協会(SDA)」代表。TBSテレビのプロデューサーとして『王様のブランチ』などの番組を歴任し、現在は『アッコにおまかせ!』を担当する。仕事柄、多忙な毎日だが、自身の理想とする父親像、スーパーダディを目指そうと努力を続ける一児のパパ。SDAの活動を通してパパの意識改革を進めるかたわら、『スーパーダディ ビジネスマンの勧め』(双葉社刊)を上梓。