育児に懸命な部下には寛容でありたい

── そういう事態になると、どうしてもママのほうに任せるのが当然というパパも多いと思いますが、どうやりくりしていたのですか?

高橋 最終的には、仕事と家族、どっちを取るのかという選択を迫られるのですが、そこは家族を取るんだという、ギリギリの最終ラインが僕のなかにはあります。

 当時の子育てに関わる夫婦のシフトは、1日で言うと、僕が朝ご飯を作る当番で、同時に息子の弁当も作るんですね。これはほぼ固定です。そして、朝の幼稚園への送りと、昼のお迎えと送り。さらに夜のお迎え。これをどちらが担当するのかを決めていました。そのシフトを1週間単位で決めて、2週間に一度くらい、担当の振り分けを更新していくといった感じで、曜日で決めていました。

 ただ、この日はどっちも絶対にダメだなっていう日が出てくるので、そういう日は、シッターさんをお願いするなどして、何とか切り抜けていました。

── 当時は、土曜日の生放送番組『王様のブランチ』担当をされていましたよね?

高橋 そのころは、木金土と徹夜続きで仕事をしながら、途中抜けして送り迎えをしていました。いちおう、日曜と月曜が休みになっていましたが、正直に言えば、僕は休みがいらないタイプなんです。なぜなら、普段の生活そのものがプライベートであり、仕事でありといった感じですから。

 僕の仕事って、歩きながら思いついたことをメモっておけば、それが仕事につながるといったことが多いんです。人と話していることが番組の制作につながるといった感じで生きているので。

 そういう意味では、“公私混同”とでもいいますか、仕事とプライベートの区切りが曖昧なんですよね。これは僕自身の特殊なキャラクターでもあり、仕事柄というのもあるので、他の方たちにはあまり参考にならないかもしれませんが……。

 ただ、最近、よくいわれるイクボスという存在は重要だと思っているんですよ。結局、上司が育児に関して寛容にならないと、なかなか社会が変わらない。だから、僕も部下が育児に一生懸命であるなら、寛容でいたいと思っています。

家事・育児の分担を増やして妻に時間を作ってあげたい

── そこまで言えるのは、やはり、妻のことを第一に考えるようになったからでしょうか?

高橋 僕の持論として、妻の“第2の人生”を考えてあげるというのが夫の役割、というのがあります。大ざっぱに言えば、女性は結婚して出産するまでが第1の人生であり、出産後が第2の人生。結婚するまでは何の責任もありませんが、結婚して、さらに出産後となると、夫は妻と一緒にいろんなことを考えていかないといけない。

 一度きりの人生です。出産後の第2の人生で、女性だけが子育てや家事に集中するのが当たり前ということで、いいのだろうか、と思うんですよね。女性にも何かしら才能があったりするだろうし、何か成し遂げられる可能性もある。それは、男性と同等だと思うんです。

 だからこそ、僕は自分が家事・育児を分担する割合を増やすことで、妻に時間を作ってあげたい。その時間で、妻にいろんな人と会ったり、世界を広げたりしてほしいと思います。

 こんなことを言うと、きれい事のようになってしまうのかもしれませんが、正直に言えば、妻の時間を増やすために仕方なく始めたことではあるんですよね。でも、仕方なくやっているうちに、僕は育児・家事が楽しくてしょうがなくなっちゃったんです(笑)。

中編へ続く)