パパのための異業種交流会を作る

── それをキッカケに高橋さんの子育てに関する考え方が大きく変わったわけですね。

高橋 そうですね。そして、子どもが3歳くらいになったときに、妻がこう言ってくれたんです。

「働くママの異業種交流会っていっぱいあるけど、パパの交流会ってないんじゃない? あなたの周りには面白い人がたくさん集まっているし、同世代のパパが多いから何かできるんじゃないの?」と。

 それもそうだなと思って、周りの人に片っ端から声をかけてみたら、けっこうみんなパパやってるんですよね。

 色々話をしてみると、実は育児に熱心だったり悩んだりしつつ、しっかりパパやっているのに仕事のときは隠しているんですよ。隠す必要なんてないのに、全く話さないんですよね。

 これが日本の男たちの悪いところですよ(笑)。何だかわからないのですが、仕事仲間とは、子どもの話はしてはいけないという雰囲気になってしまっている。

 もちろん、保育園や幼稚園などでもパパの集まりはありますが、パパの異業種交流会というのはなかなかない。それで、どんどん周りに声をかけていってみたら、輪が広がっていきました。SDAを立ち上げてから、今では子育ての話が会話の中心になってきているのが、とても面白いですね。

パパは子育てについて語り合いたいと思っている

── SDAに集う人たちは、仕事でつながっていった方たちが多いのでしょうか?

高橋 そうですね。基本的には仕事でつながった人たちがいて、さらに、「あの人も子育てしているよ」ということで、どんどん広がっていったという感じです。僕のように、子どもが小学校低学年のパパもいれば、プレパパもいますし、シングルファーザーもいます。まだ子どもが生まれたばかりという人もいれば、もう中学生だとか高校生、大学生だという人もいて、子どもの年齢はバラバラですね。

 子どもの年齢が上のパパほど、年下でもパパとしては先輩だし、自分はここまで子育てをしてきたんだという自負もある。父親としての経験もあるので、色々教えてもらえる。そんな仕事とは違った男同士の関係性というのも、なかなかいいと思っています。

 集まって話してみると、実はみんな、子育てについて語り合いたいんだなあというのがわかるので、とても意味のある集まりになってきたと思いながら、今に至っています。

 今年に入ってからは、イベントの回数を増やしていこうと考えています。何となくイベントをやると、それなりに人が集まって楽しいですから。パパが積極的に子育てとか家事をすることについて、あるいは、パパならではの育児について語り合うとか、時には傷をなめ合うとか(笑)。そういう集団って、とても貴重だと思うんですね。

 だから、代が替わってもずっと残していきたいと思ったので、今、NPO法人化するべく、動きはじめたところです。

── NPO法人化することで、どう変えていきたいのでしょうか?

高橋 今、僕なりに考えたり、思っていることを、もっといろんな場所で発信していきたいなあ、と。やっぱり、いくら家事・育児を積極的にやっていこうと言っても、なかなか浸透していかないんですよね。日本の男性というのは、まだまだ育児も家事も女性がやるもんだと思っている人のほうが多い。だから、発信できる機会をもっと増やしていこうと考えています。

 NPO法人の代表として話すほうが、テレビ番組のプロデューサーという立場よりも説得力があると思っています。だからといって、育児や教育の専門家ではないので、「育児って、やってみると楽しいよ」という具体的なことを伝えていきたいと思っています。