「グローバルな環境で、子どもにより高いレベルの教育を受けさせたい」と、子どもの将来の可能性を考えて、親子で日本を飛び出す海外移住に興味を持つ人は多いでしょう。海外で会社員として働く形態には、主に「海外駐在」と「現地採用」の2種類がありますが、グローバルライフプランを現実的に考えるためには、海外移住に関わる費用をはじめ、仕事や物価、治安、教育環境など現地の情報を総合的に押さえたうえで、後悔のない決断をしたいものです。シンガポールで現在2歳の娘を育てるファイナンシャル・プランナー(FP)花輪陽子さんによるこの連載では、実際に現地で子育てをするお金のプロの視点から、現地採用の基礎知識や子育て事情のリアルを伝えていきます。今回のテーマは、ボーディングスクール(全寮制寄宿学校)。親は日本に残り、子どもだけが留学をするスタイルのため、親子移住と比べると海外での生活費は少なくて済むことで、教育熱心な一部の母から注目を集めています。そこで、気になる世界のボーディングスクールについて紹介します。

海外のボーディングスクールで学ぶという選択

 ファイナンシャル・プランナー(FP)の花輪陽子です。世界には、ボーディングスクールという全寮制の寄宿学校があり、家族と離れて寮生活を行い、学業のみならず人間性も養成するというスタイルになります。シンガポールにいる教育熱心な日本人ママと子どもの教育についての話をすると、ボーディングスクールの話も出ますし、実際にシンガポール在住の日本人ママでも中学校や高校から英国など海外のボーディングに子どもを行かせた経験のある方もいます。

 ボーディングスクールのメリットは、基本的に子どもだけが留学をするというスタイル(学校によってはガーディアンと呼ばれる後見人が必要)なので、親子移住と比べると海外での生活費は少なくて済み、親は日本など他の国で働き続けることができることなどが挙げられます。

 寮費は100万円前後という場合が一般的。食べ盛りの男の子の場合、全寮制で食事付きだと元がとれるという話も聞きます。

王侯貴族や著名人や富裕層の子どもたちが集まる名門寄宿学校も

 また、世界の著名な寄宿学校には王侯貴族や著名人や富裕層の子どもたちも多く集まります。そこで、人脈をつくることも一つの目的となる場合が多いです。例えば、英国の男子全寮制で名門のイートン校は過去に約20人の首相を輩出しています。

 ボーディングに子どもを送る親が子どもに期待する最終ゴールは欧米の有名私立大学に入り、その後に真のグローバルリーダーになり、各方面で活躍をする人材になることなのです。スイスなど低年齢から受け入れるボーディングスクールは英語力がそれほどなくても大丈夫な場合も多いですが、英国や米国の名門校は地元の子どもたちでも入るのが難しい学校もあります。入学の段階で英語ができない場合はESL(English as a Second Language、母国語が英語以外の人のための英語教育)を設定している学校を選ぶという方法もあります。

<世界の名門ボーディングスクール例>

□ イートン校(イギリス)…対象年齢13歳~18歳。1440年に設立。過去に約20人の首相を輩出している超名門校。
□ ハロウ校(イギリス)…対象年齢13歳~18歳。第二次世界大戦時のイギリスの首相ウィンストン・チャーチルの卒業校。
□ ル ロゼ(スイス)…対象年齢8歳~18歳。スイス最古のボーディングスクールのひとつ。 14世紀に建てられたロゼ城にあり、世界でも有数の高額ボーディングスクール。
□ フィリップス・アカデミー(アメリカ)…対象年齢14歳~17歳。同志社創設者の新島襄やブッシュ大統領などの卒業校。アイビーリーグへの入学者が多い。
□ アングロチャイニーズスクールインターナショナル(シンガポール)…対象年齢13歳~18歳。シンガポールの大統領や政治家も卒業生に名を連ねる。
□ マルボロカレッジマレーシア(マレーシア)…対象年齢10歳~18歳。祖国英国では名門で英国王室キャサリン妃の母校。