きょうだいよりも「いざというときに頼れる誰か」を見つけて
今は子どもにたっぷり愛情を注いであげられても、自分たち親がいなくなってしまったら、きょうだいのいないひとりっ子は孤独になってしまうのではないか。そんな風に考える人は少なくないだろう。
読者アンケートにも「介護、相続など、親の老後をひとりで抱えるのかと思うと、かわいそうになる」(46歳母親・子どもは8歳の女の子・自分自身にはきょうだいがいる)
「将来子どもが困ったときに助け合える親族が少なく、不安」(40歳母親・子どもは3歳の女の子・自分自身にはきょうだいがいる)
「現時点で子どもに関する心配や不安は特にないが、将来自分たちが死んで子どもがひとりぼっちになったら……と、ときどき考えてしまう」(44歳母親・子どもは9歳の男の子・自分自身にはきょうだいがいる)
という回答が多かった。しかしこの点に関して、教育カウンセラーで『ひとりっ子の育て方』(WAVE出版)などの著書がある、明治大学文学部の諸富祥彦教授の考えは少し違うようだ。
「きょうだいがいるからこそ、親の介護や財産分与を巡って意見が衝突することもあります。ひとりで判断できたことで、親の介護方針を自分の望むように決められたり、財産整理が簡潔に終わったりと、精神的負担が少なかったと話す人もいます」
諸富教授の元には、ひとりっ子であることのつらさよりも、きょうだい関係に悩んだり、きょうだい間の競争により傷を負った人からの相談のほうが、多く届くという。
アンケートでも、ひとりっ子として育った読者からの意見として
「(親に何かがあったとしても)相続人が自分だけなので、揉め事の心配がない」(41歳母親・子どもは5歳の男の子・自分自身もひとりっ子)
「相続が楽そう」(40歳母親・子どもは3歳の女の子と1歳の男の子・自分自身はひとりっ子)
と、将来を前向きに捉える意見も見られた。
ひとりっ子にとって大切なのは、きょうだいの存在ではなく、将来、親以外に頼れる人がいるかどうかだと諸富教授は話す。いとこなどの親戚でもいいし、親の親しい友人などでもいい。子どもにとっても信頼できる人物に相談できれば、「ひとりぼっちで乗り切る」という事態にはならないだろう。
老後はまだ先の話。だが、今から「困ったら誰かに頼れるような子」に育てていければ、ひとりっ子の将来についての不安は少しずつ減っていくのではないだろうか。