この先どうなるのかはわからないが、妻は手に職があるし、子どもが生まれたら東京以外の場所に住むのもありだと思うと話していたから、きっと夫婦で知恵を出し合うだろう。彼の配偶者が「有名な会社を辞めないで」「転職なんて怖い」という人でなくてよかったと思う。

私が辞めるときに聞いた、驚いたまさかの本音は…

 件の彼に限らず、会社を辞めるときには身勝手だとか抜け駆けだとか、いろんなことを言われるものだ。そこで私の周囲の転職経験者に、辞める時にどんなことを言われたか聞いたところ、上司から「せっかく官軍にいるのに、聞いたこともない会社に行くのか?」「もう経費で飯が食えなくなるぞ!」「お前なんかいくらでも代わりはいる」などのむき出しのお言葉を賜った人が続々。

 ちなみに私は、多額の給料と貴重なチャンスを与えてくれたかつての勤め先にはめちゃくちゃ感謝しているが、辞める際に、とある位の高い人から「これからは小島にギャラを払うのか? 俺は女性に値段をつけることなんて、できないなあ」という金言を頂いた。

 15年も局アナやってて知らなかったよ、技術でも実績でもなくて、性別に給料が支払われていたなんて。まあそれが組織の潜在意識の表れなのか、個人的な考えなのかはわからないが、本音が聞けてよかった。

 会社を辞める人のきもちは辞めない人にはわからない。だからつい「裏切り者!」などと言いがちだが、是非、辞めた人に連絡をとって、最後にどんな金言をお土産にもらったか聞いてみよう。それは内輪の人間には決して語られない貴重な「会社の本音」だ。予想以上にヒドいかもしれないし、感動的な話かもしれない。