“娘の成長をそばで見守りたい”親として至極まっとうな願い、なぜかなわないのか

 きっと娘の〝初めての◯◯”を目撃するのは園の先生たちだろう。それだけでも寂しいのに、寝顔を見続けるような生活が私にできるのか、耐えられるのか……。でも、確実に入園できないと、後が困る。重苦しい葛藤が胸に渦巻き、気付いたらポタポタ……と、涙が書類にこぼれ落ちました。

 〝娘の成長を側で見守りたい”。親として至極まっとうな願いがなぜ叶わないのだろう。なぜこんな究極な問いを突きつけられ、苦しまねばならないのだろう。保活を巡る現状は「異常」の一言です。

 そんな私の様子を見て娘もいつも以上に泣き、産後ホルモンバランスの影響でただでさえメンタルが乱れやすい母親を追い詰める社会構造に愕然としたものです。

 一人では答えが出せず、主人に相談すると主人は私の思いを受け止め、「向こう数年間は馬車馬のように働いて、貯金を切り崩してもよいから、落ちたらシッターにしよう」と言ってくれました。覚悟を決めて、通常の保育時間で記入しました。それをカバーしようと、私の仕事の現状や保育で頼れる人がいないことなどをつづった手書きの手紙と、仕事の内容をまとめた資料を夜なべしてすべての園の園長宛てに作り、提出日を迎えました。

 が、結論から言うと「読んでいる暇がない」ということで、一切受け取ってもらえませんでした。目の下にクマを作って頑張ったのに……。何度となく肩を落とす私に主人もかける言葉がなかったようです。結果は園によって手紙、電話、メールと様々でしたが、基本的には「期日までに連絡がなければ落ちたと思ってください」ということでした。その期日がよりによって3月3日、娘の初めての桃の節句の日でした。

 ソワソワと落ち着かない2月を過ごし、各園から音沙汰のないまま桃の節句を迎えました。手まり寿司やふろふき大根の牛しぐれ煮添えなどのごちそうをテーブルに並べ、娘は夫の膝に抱えられながら、無邪気にお雛様の飾りに手を伸ばします。物を認識し、つかもうと手を伸ばせるようになったんだね、成長がとてもうれしく幸せな夜でした。

 0時を回り、ついに保育園内定の連絡は一通も届きませんでした。