特集の第1回で触れた、ひとりっ子への間違った思い込み。他にもわがまま、消極的など一般的にいわれているひとりっ子のイメージには根拠がない、と教育カウンセラーで『ひとりっ子の育て方』(WAVE出版)などの著書がある、明治大学文学部の諸富祥彦教授は断言する。
「わがままというか、いわゆる我が強い子は、きょうだいがいる子のほうが多いです。家庭内で常に競争にさらされていますから。ひとりっ子の場合、マイペースといったほうが正しいでしょう」
日ごろから親の愛を独占できているひとりっ子は精神的にも物理的にも満たされているので、主張が強くない子が多いというのだ。
「授業中などに積極的に発言することができない。また、友達と一緒にいてもニコニコしているだけで、ほとんど話さないので心配」(45歳母親・子どもは9歳の男の子・自分自身にはきょうだいがいる)
という意見もあったが、子どもが発言したいのに我慢をしている、という状況でなければ、特に心配する必要はないそうだ。家に帰ればじっくり話を聞いてくれる親がいるし、おもちゃや本などひとり占めできる。外では人に譲ることのできる優しさを持ち合わせているともいえるだろう。
保育園がきょうだいの代わりになる
また、親や同年齢の子どもと接しているときは消極的に見えても、年齢が下の子に対してはリーダーシップを発揮するという場合も。
保育士の山田哲子さんは、異年齢保育が子どもの成長に大きな影響を与えていると話す。
「保育園という生活空間で、子どもたちは家庭とは違う役割をそれぞれ果たしています。幼児クラスの子は乳児クラスの子の面倒を見てくれるし、乳児クラスの子は自分よりお兄ちゃん、お姉ちゃんを無条件に尊敬しています。ひとりっ子だからおもちゃを貸せないとか、小さい子に優しくできないといったことは全くありませんよ」
「いとこと頻繁に遊ばせている。また、保育園は異年齢の交流が多い園を選んだ」(33歳母親・子どもは3歳の男の子・自分自身にはきょうだいがいる)
「いとこと交流することで、きょうだいのような存在を感じてくれたらと思い、親戚付き合いを大切にするようにしている」(45歳母親・子どもは4歳の女の子・自分自身にはきょうだいがいる)
というように、読者からも保育園や親戚付き合いを通して年齢の違う子と積極的に関わらせようとしているという意見があった。
諸富教授も、「ひとりっ子は、早い時期から保育園に通う事をおすすめしたい」と話す。0~1歳という年齢から、同学年の子どもに加え、異年齢の子どもとも集団生活を送ることで、年上の子に憧れる気持ちを持ったり、年下の子への優しさやいたわりの気持ちが持てるようになるのだという。
次ページから読める内容
- 親との関係だけでは芽生えない「いたわりの心」
- ひとり遊びの時間こそ、想像力を育むチャンス!
- 女の子の父親は「中性的」になることも必要!?
- 女の子の父親は「子どもっぽく」「ダメなパパ」になることも必要!?
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