たまに整形をものすごく繰り返して、見ているこちらからすると「どうして」「なぜ」としか感想がもてないような方々もいらっしゃるけれど、原理的にはおなじ心持ちであるように思う。ある年齢を越え、さらに結婚していたり子どもがいたりして、いわゆる「わたしは女性である」という認識を持ち続けないでいい環境にいると、美容に関する意識&観点はあくまで自分自身の問題になる(もちろん社会的&家庭的に「女性である」という事実はつねに意識されられるんだけれど)。

 で、「老け」のなかで一般的に問題になるのは、ご存知「ほうれい線」である。このハの字の2本の皺の登場によって、「ああ、年いったな」と認識した人はかなりいらっしゃることだろう。

「ほうれい線」よりも切実な問題がある

 しかしこの「ほうれい線」、これが十人十色というか、じつは赤ん坊にもあるし、二十歳そこそこの女優にもあるし、なくなればいいってものじゃないのが肝心なところなのである。今はヒアルロン酸注入で手軽に顔のシワを盛りあげて消すことはできるけれど、みなさんもビニール製人形というか、ちょっとした「こぶじいさん」みたいな感じになっている40代~50代芸能人&モデル&SNS一般人には、お心当たりがあると思う。鏡の中で静止する、あるいは画像の中だけであれば問題ないけれど、実物における立体感とのギャップはけっこう大きく、「ちょっと入れ過ぎでは」と思わず反応してしまうこともしばしばだ。即効性はあるかもしれないけれど一度はじめるとわりに感覚が麻痺してしまう恐れもあり、踏み出す覚悟と施術には注意が必要だ。

 そう、「老け」といえば長いあいだ「ほうれい線」だったわけだけれど、しかしそれよりも切実なものとして、みなさんももうお気付きのこととは思うけれど──「顔が長くなる問題」というのが存在する。年を重ねるごとに、おそろしいことに、だいたいの人の顔は確実に伸びていっているのだ……。