20代は働き、30代で結婚かなと思っていたが…

 新卒採用の第1期生として、2004年に入社。「HOME'S」の神奈川県横浜市以外のエリアの営業担当を任されました。

 「営業先の不動産会社は年配の方が多く、インターネットって何? web広告とは何?という状況なのでイチから説明しなければなりません。東京の本社から神奈川県内を営業して帰ってくると、もう夜という日々。描いているような社会人生活とは程遠く、泥臭い毎日でした」

 そんな矢先、社会人1年目のときに妊娠が分かり、今後どうするか悩んだといいます。

 「20代はバリバリと働き、30歳になったら結婚をするかもしれない、と漠然と思っていました。社内に子育てをしながら働いている女性はいなかったため、会社を辞めざるを得ないのかなと思いました。ちょうど妊娠3ヵ月のころ、人事担当者に翌年の新卒採用の先輩紹介を頼まれたこともあり、辞めてしまったら迷惑がかかるからと思って、担当者に打ち明けました。そうしたら、『やったね!』と言われて。インタビューに出てもいいか尋ねたら、『逆に子育てしながら働いている人がいることをアピールしたほうが会社にとってもメリットになるから、ウェルカムだよ』と言われました」

 そのとき、初めて出産することがプラスになるという考え方があることに気が付いたといいます。

 「今までは、出産をする=時間が取られる、キャリアが中断する、子育てしながら働いても時短になってしまうから、自分のキャリアにとってマイナスになる、というイメージを持っていました。でも、考えてみると自分の母親も主婦であることをプラスにしてキャリアを築いてきたのであれば、私もきっと早い年齢で出産し子育てをすることは、キャリアのプラスにできるはず。子育てをしながら、その経験を生かしたキャリアを歩んでいこうと決断しました

 後半では、育休を機に事業を立ち上げた経緯と子育てと社長業の両立について紹介します。

(取材・文/平野友紀子)