“主体的に家事・育児をする夫=主夫”たち。主夫としての日々の生活、バリバリ働く妻との関係、世間の目、将来のことなど、「秘密結社 主夫の友」のメンバーでもある3人の話には、すべての夫・パパの参考になる内容がギュッと詰まっています。

 夫のための家事セミナー「夫婦円満! パパ家事サイエンス講座」(主催:サンケイリビング新聞社)の模様を、前回に引き続きお届けします。「夫婦それぞれがワークライフバランスを取ろうとしても、どちらかがうまくいかなければ、家庭は崩壊してしまう」「これからの世の中には主夫は絶対に必要だからと、きついときも乗り越えた」「人のせいにはしないことが大事」など、様々な本音が飛び出しました。

<上編はこちら> 自分、妻、世間… 「主夫の壁」の打ち破り方

夫婦で考える夫婦ライフバランス

堀込泰三さん
「秘密結社 主夫の友」CEO。在宅で翻訳をしながら2人の息子を育てる兼業主夫。大手自動車メーカーで開発職に携わり、長男誕生時に2年間の育休を取得。その後、退職して専業主夫となり、同時に多くのメディアで翻訳記事を執筆している。著書に『子育て主夫青春物語』(言視舎刊)がある。


杉山ジョージさん
「秘密結社 主夫の友」広報担当。兼業主夫の放送作家で、中1と年中の娘を持つパパ。2008年より兼業主夫として、家事・育児全般をこなす。そのドタバタぶりを『新ニッポンの父ちゃん~兼業主夫ですが、なにか?~』(主婦の友インフォス情報社刊)にまとめている。


佐久間修一さん
「秘密結社 主夫の友」総務部担当。専業主夫で4歳の息子を持つパパ。大手コンピューター会社に就職後、いくつかの転職を経て30歳でグラフィックデザイナーの女性と結婚。結婚直後にサルコイドーシスという難病であることが発覚し、退職。妻に離婚を申し出たところ、グーで殴られ、「私が働くから、あなたは治療に専念しなさい」と言われ、専業主夫になることを決意した。

杉山ジョージさん(以下敬称略) 夫婦間のコミュニケーションがうまく取れるようになってきたところで、私たちが提案したいのは、「夫婦ライフバランス」です。通常、ワークライフバランスというのは、自分一人で考えるものです。しかし、夫婦ライフバランスは、夫婦で考えるもの。つまり、夫婦それぞれがワークライフバランスを取ろうとしても、どちらかがうまくいかなければ、家庭は崩壊してしまいます。

 この日は、パパのほうが仕事が忙しくて、100%外で働いてくるので、ママは家事・育児をいつもより頑張る。その逆もあったりして、お互いが分かり合って連携していけば、次の日はこうしようと話し合える。

 それが、1日単位から1週間単位、1カ月単位、1年単位と考えられるようになれば、うまく夫婦ライフバランスが取れるようになっていくものです。そうなると、あまりいい言い方ではないかもしれませんが、お互いが我慢できるようになります。

 さらに、僕たちはワークシートを使うのですが、それに、子どもが生まれる前にそれぞれが大事にしていたものと、子どもが生まれてから大事にしていたものを3つくらい書き出します。

 僕の場合で言えば、子どもが生まれる前は、死ぬほど働いていましたので、もちろん、1位は「仕事」でした。子どもが生まれてから1位は「子ども」になり、子どもを育てるにはお金が必要なので「仕事」が2番目、3番目は「家事」というのが今のリストです。

 ウチの妻の場合は、3番以内に「家事」が入ってくることはありませんが(笑)、それでも夫婦お互いに書き出してみて、これからのことを一緒に考えてみることはとても大事だと思います。

(左から)佐久間さん、堀込さん、杉山さん
(左から)佐久間さん、堀込さん、杉山さん

10年後、20年後も考えてみる

杉山 さらに、自分たちの親の年齢や子どもの年齢を書き込みつつ、10年後、20年後のことまで考えてみると、もっと先が見えてきます。10年後の親の年齢を考えると、もしかしたら介護が必要になっているかもしれませんし、20年後ともなれば、子どもが結婚している可能性もあります。すると、今度は孫の面倒を見る可能性も出てくるかもしれません(笑)。

 なるべく具体的にどういうことになるのか、夫婦の姿を想像してみることが大事です。とはいえ、その通りになるとは限りませんよね。なぜなら、自分たちの健康状態がどうなるか分かりませんから。それでも、どれくらい先のイメージを持つことができるのかということは、大切だと思います。

 年を経るごとに、夫婦にとって大事なモノは変わっていきます。世の中は常に動いていますから、自分たちも年齢とともに変わっていかないといけないんです。

 ただ、ある程度の人生を積み重ねてきたなかで、これだけは変えられないというものが夫婦それぞれに、きっとあると思います。それを無理やり変えようとするのはバカバカしいことなので、それを変えないでどう、うまく付き合っていくのがいいのか、夫婦で前向きに考えてみるといいのではないか、と思いますね。