ひとりっ子の親の罪悪感は子どもに伝わる

 ひとりっ子の親は、子ども自身が寂しいと感じているはずと決めつける傾向にある、と話すのは、教育カウンセラーで『ひとりっ子の育て方』(WAVE出版)などの著書がある、明治大学文学部の諸富祥彦教授。

 アンケートの回答にも「遊園地に行ったとき、親が一緒に乗り物に乗って遊んでくれるようなことがなく、本当に寂しかった。当時はひとりっ子が少なかったので、疎外感を感じた」(45歳母親・子どもはひとりっ子・自分自身もひとりっ子)というように、自分自身が寂しかった経験を語る人は多いようだ。

 「30~40代の親が子どもだったころと、今の子どもたちを取り巻く社会環境は全く違います。女性の社会進出による出産の高齢化や経済的な事情で、子どもはひとりという家庭が増え、ひとりっ子であることが目立たなくなってきています」

 ひとりっ子は決して珍しくなく、悪いことではないのに、親自身が「ひとりっ子で申し訳ない」「寂しい思いをさせている」と思うことで、子ども自身が「自分は寂しい子どもなんだ」と思い込んでしまうのが問題だと諸富教授は指摘する。まずは親自身が、罪悪感や思い込みを捨て去ることが大事なようだ。

 また、諸富教授は「消極的で自己主張できない」「わがままになりそう」という、ひとりっ子の性格に関するイメージも間違った思い込み、と指摘する。実際、読者からのアンケートにも

 「家では大人としかコミュニケーションをとっていないので、子ども同士の場所で自己主張できるか不安。でもわがままな子にはなってほしくないし……」(41歳母親・子どもはひとりっ子・自分自身にはきょうだいがいる)

 「ひとりっ子はわがままというイメージがあるので、甘やかし過ぎないようにしている」(42歳母親・子どもはひとりっ子・自分自身にはきょうだいがいる)

 という意見が目立った。しかし、親が良かれと思って厳しくすることで、かえって子どもの人格形成に影響を与えてしまうことがあると諸富先生は話す。

 「厳しくすることと、正しいしつけは別。ひとりっ子の“本来の特徴”を親がしっかりと把握して関わってあげてください」