大豆の効果が注目されている

 更年期障害の話に戻りましょう。更年期障害ではどのような治療が行われるのでしょうか。

①軽度 規則正しい生活、バランスのとれた食事、適度の運動
②中度 代替医療、機能性食品
③重度 薬物療法

 このなかで注目したいのが食事です。前回「月経前症候群は軽減できる。ママも娘もガマンは禁物」の話に出てきたように、日本人は大豆をたくさん食べる食生活です。大豆をよく食べている日本人と、そうではない欧米人の健康状態を比べてみましょう。

・心臓病による死亡率 日本は欧米より低い
・骨粗しょう症による大腿骨骨折率 日本はアメリカの約半分
・乳がんによる死亡率 日本はアメリカの約4分の1

 アメリカの更年期女性の約半分はホットフラッシュ(のぼせやほてりで、大量の汗が噴き出すこと)がありますが、日本人には少ないというデータもあります。

 「これらの差は、日本人と欧米人の大豆の摂取量の差によると考えられます。大豆をたくさん食べると、エストロゲン関連の疾患予防に役立つということは、世界的なコンセンサスとなっています」と武田さん。

エクオールを含む食品もホットフラッシュに有効

 大豆に含まれるイソフラボンは、腸内で女性ホルモンのエストロゲンに似たエクオールという物質に変わります。「エストロゲンの100分の1~1000分の1の弱さのホルモンと思えばいいですよ」と武田さん。エクオールは骨粗しょう症や乳がん、肌にもよいといわれているのだそう。ただし、大豆を食べても体内でエクオールを産生できない人がいることは前回の話の通りです。「そんなときにはエクオール含有大豆乳酸発酵食品を利用するのも一つの方法です。例えば大塚製薬の『エクエル』は臨床試験によって、ホットフラッシュの頻度についての改善効果があることが分かっています」。