カルシウム、ビタミンB6 、マグネシウムは効果がある

 PMSの治療ではカウンセリングで生活日記や症状を記録してもらい、重症度を判断し、症状別に次のようなことを行います。対症療法として鎮痛剤などを使用することもあります。

①軽度 規則正しい生活、バランスのとれた食事・適度な運動
②中度 代替医療・機能性食品
③重度 薬物療法(漢方、ピル、SSRI(抗うつ剤)

 食事面ではカルシウム、ビタミンB₆、マグネシウムの3つで治療の有効性が報告されています。カルシウムには精神安定作用があり、ビタミンB6とマグネシウムはセロトニンをつくるのを助けるなるためでしょう。

大豆から作られるエクオールが治療のカギ?

 武田さんの調査によると、PMSの症状がない人は、ある人に比べ、植物性たんぱく質を多く取っていたそう。植物性たんぱくの代表には大豆が挙げられます。大豆にはたんぱく質だけでなく、イソフラボンという物質が含まれています。このイソフラボンは腸内でエクオールという女性ホルモンに似た物質に変わります。「このエクオールによって、ホルモンのゆらぎが抑えられているのではないか」と武田さんは話します。

 しかし、誰もがエクオールを産生できるわけではなく、日本人、中国人、台湾人は50%以上が産生できますが、欧米人は30%しか産生できないことが分かっています。これは、日本や中国では昔から大豆を食べる習慣があるためかもしれません。しかし、食生活の変化のためか、日本人でも若年女性では産生できる人が20%ほどに減っています。

PMS患者にはエクオールを産生できない人が多い

 一方、PMS、PMDDの重症度を日本と欧米で比べると、「欧米の成人・思春期>日本の思春期>日本の成人」の順に多くなっています。欧米よりも日本でPMSが少ないこと、また、高校生が成人よりもPMSの重症度が高いことから、エクオールとPMSには関係があると言えるかもしれません。実際、武田さんの調査では、一般の人の41.8%がエクオール産生者だったのに対し、PMS治療中の患者でエクオールが産生できる人は23.9%にとどまりました。さらなる研究結果が待たれるところです。