PMSで休む高校生は約12%。アスリートへの影響もある

 武田さんが仙台の高校4校で調査したところ、PMSにより月に1日以上欠席した生徒の割合は11.9%に上りました。オリンピック選手を輩出することでも有名な近畿大学の女性アスリートへの調査では、44.3%がPMSが練習や試合で障害になると答えたそう。また、高校生の運動部員への調査では、生理痛よりもPMSのほうが社会生活やパフォーマンスへの障害が高いことも分かっています。

 働いている人がPMSになれば、生産性が落ちることも予想されます。武田さんによると、アメリカのデータでは、PMSとPMDDによって女性一人当たり1年間で4000ドル(約50万円)以上の経済的損失となっているそう。勤労婦人の11.5%がPMSとPMDDで休業していることから算出すると、なんと年間約1兆円もの損失です。女性の活躍推進がうたわれている日本でも成人の5.3%がPMS、1.2%がPMDDに悩んでいることを考えると、月経前症候群は放っておけない疾患であることが分かります。

理由は不明だが、ネット依存のリスクは高い

 ところで、月経前症候群は何が原因で起こるのでしょうか。「ホルモンに異常があるわけではありません。原因は諸説ありますが、真実は今のところ不明です」と武田さん。ただ、排卵を抑制すると発症しないことが分かっていることから、女性ホルモンの黄体ホルモンが誘因となっているのではと考えられています。また、うつ状態と関連のあるセロトニンというホルモンの関与説も有力となっています。

 武田さんがインターネット依存とPMS、PMDDの関係を調べたところ、ネット依存のリスクが高いことも分かったそう。スマホを片時も離さない中・高生が増えている昨今、これは親として気になるところですね。