6歳の男の子と3歳の女の子を育てるデュアラーママでアナウンサー、子育て中の家族にの心によりそうメディア&プロジェクト「ホリプロ保育園」でえんちょーを務める安田美香さんが、2017年4月入園を目指し保活をしたママ・パパたちによるイベント「#保育園に入りたい」に全体司会者として参加。「ホリプロ保育園」が衆議院第二議員会館から、ディスカッションを生配信しました!その模様を2回にわたってリポートします。「上」の記事に引き続き、今回は「保育園を増やすにはどうすればいいか」を考えていきます。

■「上」の記事
待機児童 どうしてこんなに保育園に入れない?  

保育園を作る土地は、どうやって確保すればいい?

浜田敬子さん(以下、敬称略) 自治体が保育園を作らない理由として、「財源」の問題と「保育観の違い」「喉元過ぎれば熱さを忘れる」という問題が挙げられました。次に、具体的な解決策を考えていきましょう。現在、「保育士不足」「近隣住民の反対」がクローズアップされています。「保育士不足」は「財源」でカバーできますが、保育園を作るときの「用地」はどうすればよいのでしょうか

駒崎弘樹さん(以下、敬称略) 処遇を上げて保育士になる人を増やそうということになり、この4月から6000円、ベテラン保育士は4万円、国が処遇を上げることになりました。これまでのことを考えると、一歩足を進められたのはよかったと思います。「用地」問題については、いろんなやり方があります。例えば、公園に保育園を作るという方法。都立公園は1ヘクタール以上ある広いところも多いですね。既に一昨年から始まっています。

浜田 小池都知事は、そのあたりまで手をつけようと思っていらっしゃるんでしょうか?

駒崎 小池都知事は「都の土地を一箇所に集めて情報発信していこう」「国が保育士のお給料を6000円上げるのに対して、東京都は2万1千円上げます」など、色々やってくださっていますね。こうした取り組みが評価されれば、「都知事がやっているから、うちでもやらなきゃ」と自治体の首長も続いてくれるかもしれません。

「自分が悪いんじゃないか」でなく、社会が解決すべき課題

天野妙さん(以下、敬称略) 私が住む武蔵野市では、3年前から「保育園増やし隊@武蔵野」という団体があって、毎年恒例行事のように集団で異議申し立てに行っていますが、その効果は実感できていません。親たちができることって何なんでしょうか?

池本美香さん(以下、敬称略) スウェーデンやニュージーランドのような制度があれば(前回の記事参照)、親たちが保育園を作ることができます。「それと同じことを今の日本でやれるのか」と考えると難しいですが、そういった仕組みを要望していくのも1つの手段です。

駒崎 1年前に注目された「保育園落ちた日本死ね!!」がなければ、今春からの保育士の6000円給与アップというのはなかったはず。あの親の叫びをメディアが取り上げ、国が動いた。この例からも分かるように、「当事者の叫び」は一番強いツールなんです。大人は「自分でなんとかしよう。自分で乗り越えるのが、人としてのたしなみ」とがまんしてしまいがちですが、じゃあそこで乗り越えられなかったら「自分が悪いんじゃないか」と、問題を内在化してしまう。そうではなく、これは社会の課題なんですから、社会で解決するべきだと思います。

天野 まさに私は、8年前保活に失敗したとき、「自分が悪いんだ」「与えられた環境の中でなんとかしなくちゃいけない」と黙って受け入れていました。ですが、昨年の「保育園落ちた日本死ね!!」を知ったときに「そうか、怒っていいんだ」と気づいたんです。あの言葉は、今の日本の保育問題を顕在化させる大きな起爆剤になったと思います。

浜田 今年、不承諾通知を受け取った親にできることがあれば、教えてください。

駒崎 不承諾通知を受け取った多くの親御さんが、写真をツイッターにアップして「見える化」していましたね。とてもいいことだと思いました。ツイッターなどのSNSを使えば、政治家に対して見える化することができます。 「保育園に入れない=失業」となれば、失業手当もかかるし、所得も下がる。企業にとっても個人にとってもダメージになるんです。雇用主にとって、社員が1人復職できないということは打撃。経営者の問題であり、夫たちの問題であり、地域社会の問題でもあるんだとウイングを広げ、異議申し立てをしていくことが必要です。