愛を注ぐだけでなく、照れずに「ありがとう」と受け止めて

 さらにもう一つ、お願いがあります。お父さん・お母さんは愛情を注ぐのは得意ですが、受け止めることが案外苦手かなぁと。子どもが大きくなってくると、何かしてくれたときに親も照れてしまうのね。そこを頑張って、ちゃんと「ありがとう」と言ってあげてほしいんです。

 教室でも、クリスマスのディナーを子どもたちが準備してお母さんを招きます。そのときに、私はお母さんたちにお願いしています。「今日はただもう『ありがとう』って言ってあげてくださいね」って。

 子どもが小さいころは、何かしてくれたらそれはもううれしくて「ありがとう!」ってしょっちゅう言っていた気がしますが、大きくなっていくにつれ、それがだんだん少なくなります。

 でも、お母さんが「ありがとう」って言葉にして言ってくれないと、子どもの心はどうしても満たされない。子どもにとって、お父さん・お母さんの笑顔はそれこそ生きる意味だから。子どもたちが大きくなればなるほど親のほうも忘れてしまうのですが、子どもからの愛も必ず受け止めてあげることが大事です。愛は注ぐだけでなく、しっかり受け取る。

 それも黙ってではなく、「ありがとう」と言葉にして伝えてください。それが、上手にコミュニケーションをとるコツだと思います。

(構成/山田美紀 葛さんの撮影/吉澤咲子)