娘の友達のお母さんから頼まれて、基本的な料理とマナーを教えようとクッキングプロデューサーの葛恵子さんが気軽な気持ちで始めた子ども向けの料理教室「リトルレディーズ」。前回「料理を通して自分を大事にすることを学んで」では、葛さんが子どもたちに学んでほしいと考えている4つの事柄について聞きました。キッチンで子どもたちの手元に注意を払いながら会話に耳を傾け、それぞれの成長を見守ってきた葛さんは、難しい年ごろに差しかかった子どもたちとコミュニケーションをとるのにキッチンは最高の場所だと言います。その上手なやり方について伺います。

料理には本音を引き出すものすごい力がある

 キッチンで子どもと一緒に料理をして、ごはんを一緒に食べて後片付けをする……この時間は親子でコミュニケーションを図る絶好の機会です。というのも、料理をしている間、子どもたちは普段とは異なる集中力で料理に夢中になっているので、本音がじわじわ出やすいのです。それがまた、結構動揺するようなこともあるのよね。でもお母さん側は、とりあえずスルーしてください。

 安心安全な巣でのお母さんとの料理の時間に、やはり心の扉を開けているから、つい本音が漏れるのだと思うんですよね。そこをいちいち、「ちょっと待って、今のはどういうこと? ここに座ってもう一度言って」などと問いただしたりしないでくださいね。あくまでも料理の手は止めず、「ああそうなの、あなたも大変だね、ふんふん」って聞いておいて、後でフォローするくらいがいいと思います。

 料理の腕とか技術とは全然関係ないことですが、子どもとの大事な時間であることには変わりありません。教室に集まってきた子どもたちがキッチンで交わしている会話に耳を傾けていると、料理には本音を引き出すものすごい力があると思います。一緒にご飯を作って食べるとはそういうことなのでしょうね。

 そろそろ教室も卒業かなという時期です。そういう子どもたちについては、3つのポイントを見ています。

クッキングプロデューサーの葛恵子さん
クッキングプロデューサーの葛恵子さん