親の関わり1【子どもの自己認識】
まずはわが子の特性を知り、それを伸ばす声かけをする

 中学受験をするのなら、大手進学塾に通うのが一般的です。なぜなら、大手進学塾には、中学受験に必要なカリキュラムがすべてそろっているからです。

 小川先生は言います。

塾通いで注意したいのが課題をこなすことに精いっぱいになってしまうこと。「合格するための勉強が大事。まずはお子さんの現状をしっかり把握することです」と小川先生
塾通いで注意したいのが課題をこなすことに精いっぱいになってしまうこと。「合格するための勉強が大事。まずはお子さんの現状をしっかり把握することです」と小川先生

 「しかし、ここで気を付けなければならないことがあります。それは、大手進学塾は受験に必要なカリキュラムがあり、きちんと授業もするけれど、生徒一人ひとりの成績を上げることまではしてくれないということです」

 「大手進学塾の授業は、集団クラスで行われます。そのため、お子さんの理解度に関係なく、授業が進められていきます。また、お子さんの現状や力量に関係なく、大量の宿題が出されます。こうした状況で、塾から言われるがまま勉強をさせようとすると、毎日課題をこなすことだけでいっぱいいっぱいになってしまい、『合格するための勉強』ができなくなってしまいます」

 「そうならないためには、まずはお子さんの現状をしっかり把握することです。お子さんは何が得意で、今何につまずいているのか? お子さんにとっての適切な問題を見抜き、そのための対策を取るようにしましょう」

 西村先生はこうアドバイスをします。

なかなか解けない問題でも「親が子どもの良いところを伸ばす“合いの手”をかけてあげることで、解けてしまうことも多い」と西村先生
なかなか解けない問題でも「親が子どもの良いところを伸ばす“合いの手”をかけてあげることで、解けてしまうことも多い」と西村先生

 「それにはまずお子さんをしっかり観察することです。例えば、お子さんが算数の問題を解くときに手が止まっていたとします。そういうときは、すぐに答えを教えるのではなく、『今、何を聞かれているのかな?』『何が分かれば解けそうな気がする?』『何を書けば解けそうな気がする?』と声をかけてあげてください。すると、止まっていた思考が少しずつ動き出します。『もしかすると、面積図を描けば解けるかもしれない・・・』。そう気づけたら、『おっ! すごいね、そこに気づけたんだね』と言ってあげると、『よし、最後まで解いてみせるぞ」と挑戦する気持ちになります。このように親が合いの手を入れてあげると、解けてしまうことも多いのです」

 「中学受験を始めると、親はわが子と周りをつい比べてしまい、子どもの欠点にばかり目がいきがちです。子どもの勉強の進みが悪いと、『さっさと解いて、宿題を終わらせなさい』『こんな問題も解けないの?』など、嫌みを言ってしまいがちです。しかし、そんなことを言われて、頑張ろうと思う子などいません」

 「人にはそれぞれ特性があります。マイペースな子は、親からみると『なんでうちの子は何をやるにも遅いのだろう』と思ってしまいますが、そういう子は『物事をじっくり考えることができる』『丁寧で慎重』などの良さを持っているのです」(詳しくは前回記事『「中学受験をするかしないか迷っています・・・』をお読みください)

 「中学受験で大切なのは、子どもを気持ち良く勉強させることです。親は短所の裏には長所があることを認め、その長所を伸ばす声かけをしてあげましょう。子どもは与えられた言葉で自分を理解します。たとえ今うまくいっていなくても、『あなたのそうやってじっくり考えるところはいいと思うよ。でも、テストには時間制限があるから、そこも意識していこうね』といったように、『ちょっと頑張ればなんとかなりそう』な成功を予感させる言葉をかけてあげてください。『あなたならできそう』という言い方をしてあげると効果的です。すると、子どもも『自分ならできるかもしれない』と前向きな気持ちになります」

<子どもをやる気にさせる 親の声かけ(一例)>
□ 「今、何を聞かれているのかな?」
□ 「何が分かれば解けそうな気がする?」
□ 「すごいね。よく気づいたね」
□ 「あなたならきっとできそうよ」

 このように、子どものやる気を引き出すには、親のポジティブな声かけが大切なのです。


越南小町
越南小町 1971年、東京生まれ。フリーライター。子どもの誕生をきっかけに、わが子の成長に合わせ、ベビー雑誌、保育園専門誌、育児・教育雑誌、塾専門誌で取材・執筆。7年前に子どもの中学受験を経験したものの、国立大学の付属中学で併設高校が無かったため、その3年後に“高校受験生の母”、またその3年後に“大学受験生の母”も体験。中・高・大の3つの受験を知る受験ライター。

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