娘の友達のお母さんから頼まれて、クッキングプロデューサーの葛恵子さんが気軽な気持ちで始めた子ども向けの料理教室「リトルレディーズ」。料理の基礎だけでなく、社会に出ても困らないマナーも教えてくれるということで、瞬く間に口コミで評判になります。子どもたちにもお母さんたちにも慕われる葛さんは、キッチンで反抗期の子どもたちの本音を大きな心で受け止めつつ、さりげなくアドバイスをしてきました。「食卓で学ぶことはとてもたくさんありますし、食卓を囲むことでバランスのいい心が育つように思います」と語る葛さん。今回は、教室を卒業するまでに子どもたちに身に付けさせたいと考えている4つの事柄を中心に話を伺います。

味覚を育てるために食材はなるべくシンプルに使う

 お料理を教え始めて10年くらい経ったとき、子どもたちと料理を作り、食卓を囲むことで何を学んでほしいのかなと改めて考えてみました。以前にもお話しした通り、私のお教室の目的は料理の高いスキルを教えることではありませんし、知識としてのテーブルマナーを教えることではありません。では、教室を通じて何を学んでほしいか、それは、自分自身を大事にしてもらいたい、そして一緒に食べる人もまた大事にできる思いやりある心を育てたい、子どもたちの情緒を育みたいのだと分かったのです。

 「自分を大事にする」とはつまり食事を大事にすること。「きちんと食べる」とはどういうことかを小さいうちから教わっておけば、一生自分を大事にする方法が分かります。自分を大事にできなければ、ましてや他人なんて大事にできませんからね。


クッキングプロデューサーの葛恵子さん

 では、食事を通して自分を大事にできるようになるには、どうすればいいのか。4つのポイントがあります。

 1つは、味覚を育てること。今の子は腐った食べ物がどんなものかも知りません。「糸を引く」とか「足がはやい」とか、食べ物に関する言い回しも通じない。でもそれでは、生き延びていくうえで困ると思います。本来、この食品はこういう味がする、と知っていれば、「ちょっと味が変だな」って腐っていることが分かるでしょう? そういう意味でも、食材はあまり複雑な味にしないようにし、新鮮な食材を選んで単品で使うようにしています。

 例えばカボチャのポタージュスープを作る際、うちの教室ではタマネギをいためて加えることはしません。カボチャだけをバターでいためて少量の水で煮てミキサーにかけ、牛乳と塩で甘みを出すようにしています。味付けは子どもたちが皆で相談して決めますが、塩を入れないままでも「甘くておいしい」と子どもたちはよく言います。

 子どもが「野菜が嫌い」と言っているときに、例えばタマネギそのものが嫌いなのではなく、いためたタマネギとカボチャの混ざった味が嫌いなのかもしれません。あまり複雑に混ぜ合わせると、本当に何が嫌いなのかも分からなくなってしまいますよね。ですから、可能なときはなるべくレシピはシンプルにしています。

次ページから読める内容

  • 料理の基本的な技術と知識は、やはりあったほうがいい
  • 「フゼイがないといけないからね」と子どもは盛りつけに挑戦
  • 子どもには一生、誰かとの食事を楽しんでいてほしい

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