一般的に中学受験の勉強が始まるのは、大手進学塾の受験カリキュラムがスタートする小3の2月からと言われています。「中学受験をする」という選択をして、大手進学塾に通い始めた新4年生たち。それから2カ月が経ち、少しずつ塾生活にも慣れてきた頃ではないでしょうか? 本番まではあと3年とまだ時間がたっぷりありますが、4年生のこの1年間をどのように過ごすべきか、本連載でお馴染みの西村則康先生に伺いました。

こんなに違う!学校と塾の授業のスピード

西村則康先生
西村則康先生

 大手進学塾に通い始めた新4年生が初めに戸惑うのは、授業のスピードではないでしょうか? 小学校の授業は、「クラスみんなが理解できるように教える」ことが基本ですが、塾の授業はそうではありません。

 西村先生はこう話します。

 「塾は年間にやるべきカリキュラムが決まっていて、毎回の授業で『ここまで教える』という課題があります。限られた時間内に必要なことを教えなければいけないため、先生が教えるスピードも自ずと速くなります。たとえるなら、NHKのアナウンサーが話すスピードですね。まずはこのスピードに慣れる必要があります」

 「次に板書です。こちらも小学校の授業よりスピードが必要です。のんびり写していると、あっという間に消されて、次に進んでいきますので、子ども達は必死です。しかし、ここで気をつけなければいけないことがあります。書き留めることに必死になっていると、何も考えずに写しているだけなので、内容が理解できなくなってしまうのです」

 「こうした状態にならないようにするためには、『授業の聞き方』を変えていかなければなりません。板書に必死になるのではなく、黒板を見ながら先生の話を聞くという状態にするのです」

 「それには『素早く書く』練習が必要です。できれば、低学年のうちにその練習をしておくといいでしょう」

 「実はえんぴつの持ち方も、書くスピードに大きな影響を与えます。正しい持ち方をしていれば、字や図もスムーズに書けますが、そうでないと変に力が入って、えんぴつの芯が折れてしまったり、字が斜めになってしまったりして、何度も書き直してスピードについていけなくなってしまうからです。ですから、えんぴつを持たせ始めるときから、正しい持ち方を身につけておくことが大切なのです」