家族は個人戦じゃなくて、団体戦。一人一人に目を配る
日経DUAL編集部 ママになってhitomiさん自身、自分でも驚くくらいの変化があったとのこと。実際に、どんなふうに変わったと思いますか?
hitomiさん(以下、敬称略) 自分自身の在り方やスタンスの幅が広がったように感じますね。子育てしていて思うのは、仕事の大変さと子育ての大変さってまったく別物だな、と。仕事は自分の中で完結させていく場面が多いけど、家庭生活は関係の近い者同士がみんなで共有し合いながら進めていかなければいけない。そういう意味で、家族は個人戦じゃなくて、団体戦だなっていつも感じるんです。
―― 団体戦という感覚は、家族を持って初めて生まれたものですか?
hitomi そうですね。私はもともと団体戦が苦手なので(笑)。歌うのも「バンド向きじゃないな、私」と思っていましたし、一人でバンバン決めていくのが好きな性格でしたから。今は、家族に一つ一つ、「これはどう思う? どう感じる?」「何がいいの? 何が嫌なの?」って思いや理由を確かめながら物事を進めています。
―― その分、自分の思うように進まないことも多くなりますよね。
hitomi そうなんですよ! 今の私は完全に脇役ですから。家族の中で脇役として、みんなを見守っている感じです。娘や息子たちやパパは今どういう状態なんだろう? メンタルは? 体の状態は? 風邪っぽくないかな? とか。心の状態は体にも影響します。そんな家族一人一人の状態を至近距離で見るというよりも、一歩引いて客観的に見るというイメージです。2歳の長男の場合だと、例えば一見、無邪気に「かまって~!」と近づいてくるんですが、その笑顔の裏に「本当はものすごく甘えたい」という感情が潜んでいたりします。「本当はどう思っているんだろう?」と、相手の奥にある感情も見るようにしています。もし、そういう感情が見えたとしたら、できるだけその思いをくみ取り、受け入れてあげる。そうしないと、感情が消化できないので、後々かんしゃくを起こしたり、物を投げたりといった行為につながっていくんだろうなと。
―― 小学3年生になる娘さんも、成長するにつれ、友達関係で色々な感情を抱いたりしそうですね。