小学校4年生を入り口に高学年は、生活面での自立が少しずつできるようになる時期。親の手から離れ始めたとはいえ、成長過渡期ならではの危なっかしさもあり、任せきりにするのも心配です。3月の高学年年齢別特集では、高学年における親子の関わりと環境づくりについて全4回で解説。先輩ママたちに“小4の壁”の体験談や家庭のルールを聞いた前回に引き続き、今回は、防犯面の工夫や勉強のフォロー、子どもの心に配慮した関わりについてお届けします。

【年齢別特集 小学校高学年のママ・パパ向け/新学期準備】
(1) “小4の壁”は春休みに直面 学童卒所対策 
(2) 小4の壁 習い事、勉強、子どもの心のケア ←今回はココ
(3) よく学び、家族をつなぐリビング&子ども部屋
(4) 高学年 一人部屋づくりの時期、ポイント

 子どもの成長に伴い、ママやパパが抱く育児の喜びや悩み、知りたいテーマは少しずつ変化していくものです。「プレDUAL(妊娠~職場復帰)」「保育園」「小学校低学年」「高学年」の4つのカテゴリ別に、今欲しい情報をお届けする日経DUALを、毎日の生活でぜひお役立てください。

先輩ママが語る“小4の壁” トラブルを回避する、防犯・ケータイ利用の工夫

 小学4年生になって学童を卒所したり、「学童よりも友達と自由に遊びたい」と一人で帰宅することを望んだりするようになると、親は「子どもが放課後を安全に過ごせる場所」について思い悩むことでしょう。個人差はありますが、毎日留守番をさせるにはまだ不安の残る年齢。「そろそろ、大丈夫」と留守番を任せられる子であっても、長期休みのことまで考えると、子どもの安全や防犯・セキュリティー面が心配です。先輩ママたちはトラブルを回避するために、どのような工夫をしているのでしょうか。

【先輩ママのプロフィール】
横山さん(仮名) 高1女子と中2男子の母で、2人の子どもはともに中学受験を経験。子どもが利用していた公設学童は、夜7時まで延長料金なしで預かってもらえ、小4まで登録が可能という恵まれた環境で、“小4の壁”というよりも“小5の壁”を経験。

川上さん(仮名) 中2女子と小3男子の母。長女は小学校から遠い、父母が運営する公設学童に通わせたが、下の男の子が小学校入学時に民間学童が学校近くに開設されたため、そちらに通わせつつ、二度目の“小4の壁”を経験することになる。

片山さん(仮名) 中3男子の母。3年間、公設学童に通わせた後、“小4の壁”を前に“小4の壁を乗り越えるためのコミュニティー”を設立しようかと真剣に考えるくらいに心配していたという経験を持つ。

橋本さん(仮名) 子どもは私立小学校5年生の男の子。小学校に学童がなく、1年生から民間学童に週2回通っているが、最近はあまり通っていない。夏休みの預け先を確保するためだけに籍を置いている。

 子どもの留守番トラブルでよく聞かれるのがカギの紛失。防犯上、カギはランドセルの中にというママは多いのですが、中には学校用と習い事用と2つ用意している人もいます。

●カギ紛失防止の工夫

川上 ウチの子の場合は、カギを無くしたことはありませんでした。ランドセルにひもで縛りつけていましたから。首にかけるタイプのものもありますけど、それだと見えちゃうので防犯上、危ない気がします。

片山 ウチもランドセルに付けていました。さらに、必ず子ども用にカギを2つ用意していました。ランドセルに付けておいたのを習い事に行くときに外しちゃうと、そのまま忘れることがあるからです。なので、学校に行くときにランドセルに付けるためのものと、それ以外のときに使うためのものとして2つ。リールみたいなのでびよーんと伸びるタイプのキーホルダーが便利でいいですよね。使っている間に切れちゃったりもするので定期的に点検が必要ですけど(笑)。

 子どもの居場所確認や連絡を取りたいときにあると便利なケータイですが、メールやSNSトラブルが心配の種。あらかじめ親子でしっかり話し合って、家庭のルールを決めておく必要があります。

●ケータイ・SNS対応

横山 小学生の間は子どもたちにケータイを持たせていなかったので、学童から一人帰りするようになってからは「18時までには帰宅する」と約束して、18時には家に帰宅確認の電話をするようにしていました。忙しい時期になるとその電話を忘れてしまうこともありましたが、何か「子ども達のリズムが乱れていそうだな」と感じるときには抜き打ちで電話をしていました。

 ケータイを持たせない家の問題点としては、友達からケータイを借りることが出てくること。「それは相手のご家庭に迷惑だから、注意しておかなければ」と感じていました。ウチの場合は、親以外はすべてブロックしています。やはり女の子ですし、ケータイにまつわるトラブルも多いと聞くので、親以外とは連絡取れないようにと。習い事や塾通いをきっかけに、というパターンも多いですよね。中学受験する子どもは4年生くらいから塾に通って一人で行動する範囲が増えるし帰りが遅くなるので、防犯の意味で。

川上 わが家も中学生になるまでケータイは持たせていませんでした。ガラケーなのでLINEはやっていませんし、親以外はブロックしメールのやり取りができないようにしています。ケータイを持たせることで心配なのは、やはりメールのトラブルですよね。特に女の子同士の悪口メール。上の学年のお母さんから聞いた話ですが、「明日からは○○ちゃんはシカトね」といったメールが回ってきたことが実際にあったみたいです。

 家庭によってはネットが見放題だったりします。同様に家のパソコンも全くロックが掛かっていない子もいるわけです。そうなると、その子どもの家に集まってネットサーフィンしたりすることになる。もともとは何かを調べるつもりだったのかもしれないけれど、そういう緩いおうちもあるので、4~5年生くらいになると、家庭によってかなり差が出てくることになるので、親が注意を払う必要性が出てきます。

 スマホを制限なく使っている周りの友達は、何かしらのトラブルに巻き込まれやすいみたいです。やはりメール関係のトラブルが多いようで。「メールというのは大人でも誤解が生じやすいのに、ましてや子ども同士だともっと誤解が生じるから気を付けなさい」と言い続けてきたんです。そういう流れもあって、中学生になった娘が「ママが言ってたことが最近になって分かるようになった気がする」って言われて、うれしさのあまり泣きそうになりました(笑)。

 次のページからは、中学受験も視野に入れた塾や習い事の対応について聞いていきます。

<次ページからの内容>
・「学童」から「塾」に居場所が変わった 一人帰りの日には手紙を用意
・「一人でいる時間は大事だし必要」という子どもの声
・「これができるパパってすごい!」があると、父子の関係も良好に