過去の「成功体験」にしがみつくのはNG “失敗”は次なるチャンスに!
最後に小川先生はこうアドバイスをします。
「中学受験において、親の関わりはとても大事です。子どもは親御さんの一言で励まされ、頑張ります。でも残念なことに、その『頑張らせ方』を間違ってしまう親御さんが少なくありません」
「多くの親にとって、受験というと大学受験のイメージが強いと思います。英単語を必死で覚えた。毎晩夜遅くまで勉強をした。そうやって皆さんは頑張ったから、合格できたのかもしれません。しかし、それは親御さん自身の成功体験であって、それがお子さんの成功につながるとは限りません」
「先ほど中学受験をするメリットとして、勉強は誰でも平等にチャンスがあり、頑張れば伸びると言いましたが、それは正しい中学受験をしたときに当てはまることで、とにかくがむしゃらに頑張れば合格できると思い込まないでください。そうした親の思い込みが、中学受験をつらいものにするからです」
「中学受験をうまく進める秘訣は、過去の成功体験に振り回されないことです。例えば、4年生のうちは塾で習う範囲も比較的易しいため、パターン学習や暗記学習である程度いい成績は取れます。しかし、5年生になると応用的な学習になるので、これまでと同じ学習の仕方では通用しなくなります。こうしたことを知らずに、いつまでもそれまでうまくいっていたやり方でやろうとすると、うまくいきません。つまり、『成功は失敗のもと』になりかねないのです」
西村先生は言います。
「逆に人は失敗から多くのことを学びます。ケアレスミスで悔しい思いをした。考え過ぎて、時間が足りなくなってしまった。こういうことは、一度失敗をしてみなければ、気がつかないことです。ですから、『失敗は成功を導くためのよいチャンス』と思って、それを生かしていきましょう。大事なのは、過去や未来に振り回されず常にお子さんの現状を把握し、お子さんを中心に考えて進めていくことです」
「こうして、正しいやり方で受験勉強していけば、中学受験は決してつらいものにはなりません。むしろ、家族みんなが一丸となって取り組む数少ない機会で、家族の絆が強まるという良さもあるのです」
次回は、具体的な理想の勉強のやり方についてお伝えします。
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(取材・文/越南小町 撮影・構成/日経DUAL 加藤京子)