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親の“成功体験”が子どもの中学受験をつらくする

【日経DUAL 中学受験対策セミナー】(2)家族みんなが笑顔になれる受験にするために知ってほしいこと

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去る2月18日、日経DUAL主催の中学受験対策セミナー「自己管理できる中学受験生の育て方」が開催されました。講師は本連載でおなじみの中学受験のプロ家庭教師・西村則康先生と、中学受験専門の個別指導教室SS-1代表の小川大介先生です。当日は午前に低学年の部、午後に高学年の部を設定。それぞれの学年の親御さんが知りたいことや悩みに先生たちが答えてくださいました。

本連載では、受験のプロならではの実践的なアドバイスが満載だったセミナーの内容の一部を3回にわたって紹介します。第2回は、これから中学受験をするかどうか迷っている低学年のDUALファミリーに向けて、中学受験を始める前に知っておいてほしいことをお伝えします。

第1回 中学受験 4~6年生が夏までにしておくべきこと
第2回 親の“成功体験”が子どもの中学受験をつらくする ←今回はココ!
第3回 中学受験 子を伸ばす親の大事な3つの関わり

【中学受験はすべき?】中学受験で得られる知識とセルフイメージ

 一般的に中学受験の勉強は、3年生の2月からスタートします。なぜなら、大手中学受験塾のカリキュラムがそうなっているからです。そこから3年かけて中学受験のための勉強をし、6年生の1~2月に本番を迎えます。

 中学受験をするのなら、3年生の秋には各家庭の方針を決めておきたいものです(詳しくは過去の記事『中学受験 大手塾の入塾テストを甘く見ると後悔する』を参照ください)。でも、3年生といえば、まだ幼い子どもです。「うちの子にそんな勉強ができるのだろうか・・・」「6年間の小学校生活のうちの、約半分を受験勉強中心の生活にしてしまっていいのだろうか」と心配な親御さんも多いことでしょう。

 そもそも大学全入時代と言われている今、中学受験はすべきものなのでしょうか?

 西村先生はこう答えます。

 「もし、経済的にさせられる環境であれば、したほうがいいと思います。なぜなら、中学受験を目指す学びやプロセスには、志望校合格だけに終わらないたくさんのメリットがあるからです」

 「受験勉強というと、パターン学習や暗記学習をイメージする方は多いようですが、実は中学入試は、単に知識を覚えるだけでは答えられない問題が多く出されます。特に難関校の算数は、『頭を使う考え方』をしなければ解くことはできません。問題を読んで、『今分かっていることから次に何が出せるか』『答えにたどり着く一歩手前では何を分かっていないといけないのか』と、持っている知識をフルに使って2方向から考える。この考え方は、中学受験だけでなく、大人になってビジネスでも活用できる考え方です。正しい受験勉強をすると、自然と論理的思考が身に付くというわけです。そういう考え方を小学生から身に付けられるというのは、その後の人生において大きな財産になります」

中学受験専門個別指導教室SS-1代表の小川大介先生(左)と中学受験のプロ家庭教師・西村則康先生
中学受験専門個別指導教室SS-1代表の小川大介先生(左)と中学受験のプロ家庭教師・西村則康先生

 小川先生はこう言います。

 「中学受験で国語を勉強すると、たくさんの言葉を覚えます。一般的に小学校の教科書で学ぶ語彙数は4000~6000語ですが、難関校を受験するのなら約10000語、最難関校なら約15000語を身に付けられます。私立大学受験で必要な語彙数は約20000語と言われていますから、上位生は大学受験生並みの言葉を手に入れるのです。」

 「そして、中学受験の良いところは、誰にでも平等にチャンスがあることです。運動や音楽などの能力は、ある種生まれながらに持った才能によるものもあると思います。でも、勉強は正しく頑張れば必ず伸びます。つまりみんなにチャンスがあるのです」

 「また、頑張ったことが結果につながると、『ぼくは頑張ればできる子なんだ!』というセルフイメージを持つことができます。そして『頑張ってできた』という経験をくり返すことで、自己肯定感を高めることができます。この自己肯定感は、生きていくうえでとても大きな力になります。自己肯定感がある子は、これから先に『どんな困難があっても、自分なら乗り越えられる』と思うことができ、頑張ることができます。そして、頑張って乗り越えられたときにさらに自信がつきます。こうして人生を前向きに生きられる人になるのです」

 しかし、「中学受験にはデメリットもある」とお二人は言います。

 「間違った受験勉強をしてしまうリスクもあるのです」

 それはどういうことなのでしょうか?

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