「子どもに伝えたいマナーのお話」、2月は「大切な挨拶」について、それぞれどのような意味があるのか理解して使いましょうということをお話ししました。大人の方にも、知っていただきたい内容でした。子どもは家庭や集団生活の中で、大人がする挨拶を見ていますので、大人が良い見本を示していただきたいと思います。

 さて、今日のテーマは、お友達が出来始めた子どもにとって、最初のハードルである「よそのおうちでのマナー」です。

友達の家に行く直前に「あれはダメ」といっても、子どもは理解はできない

 小さなお子さんがいらっしゃるご家庭では、遊びに来た子どもの友達のマナーが悪くて、ホトホト困った・・・という経験をお持ちの方も多いと思います。

・いきなり上がりこんで、玄関で靴は脱ぎっぱなし。ランドセルは放りっぱなし。
・喉が乾いた、おなかがすいた、といってジュースやお菓子を要求。
・冷蔵庫や机を勝手に開けて、中を物色。
・子どもの部屋だけでなく、ほかの部屋にも入る。

 きっと、「そんな子、いるいる・・・」と頷かれたのではないでしょうか。と同時に、「自分の子どもは、そんな子にはなってほしくない」とも思いますよね。

 「よそのおうち」でも守らなければならないマナーがあります。でも、遊びに行く直前になって、子どもを捕まえて「あれはダメ、これもダメ」といっても急に理解できるものではありません。普段から、家庭でのしつけとして話をしておく、普段から親が模範となる行動で示しておく、ということが大切です。

 まず初めにお子さんに伝えたいことは、「よそのおうちは、自分のおうちとは違うんだよ」ということです。自分の家から一歩外へ出たら、それはもう公共の場。よそのおうちでも、自分の家のようには振る舞えないという「けじめ」をしっかりと教えなければなりません。

 よそのおうちに行ったときに、気を付けなければならないことを、順を追ってみていきましょう。

 (1)しっかり挨拶をしよう

 お友達のおうちでも、基本は「挨拶から」です。玄関のチャイムを押して、名前を名乗ってドアを開けてもらうことも、知らない子どもがいるのです。

 チャイムは1回、しっかりゆっくり押してね。
 おうちの人には、お顔を見てしっかりとご挨拶をしようね。

 「こんにちは。お邪魔します」。小学生にもなると、これくらいのセリフは言えますね。

 (2)脱いだ靴はそろえよう。ランドセルや上着も、あちこちに置かないで

 「片付け」の回でも触れましたが、脱いだ靴はそろえて(可能なら少し端に)置きます。向きは、帰るときに履きやすいように。

 子どもには、「次に来る人の邪魔にならないところに、帰るときに履きやすいように置きましょう」と、理由を付けて教えるといいですね。立派な格好の大人でも、自分の靴をそろえないで上がりこむ人を見ると、興ざめしてしまいます。自宅で繰り返し、習慣にしてください。

≪参考:玄関の上座、下座≫

 玄関は、靴箱のない場合は、応接室などと同様に、一般的に出口から一番近い部分が下座、一番遠い部分が上座になります。

 靴箱のある場合、おしゃれな飾り棚として使われている場合は、そこが上座になり、自分の靴はそこから遠い位置に置きます。普通に靴箱として使われている場合(ほとんどがこちらに該当しますが)は、靴箱のあるほうが下座になり、靴はその近くに置きます。

 ランドセルも、かばんも、通された部屋の隅っこに置きましょう。上着も脱いだら、たたみましょう。「たたむ」という動き、簡単なハンカチたたみなら2歳児くらいから、脱いだ服をたたむことは5歳児くらいになるとできるようになってきます。