「新しい知識を得ること」は、子どもにとって楽しいこと

 幼児期の子どもたちにとって「勉強」とは、「今まで知らなかった知を得ること」なのです。

 例えば、お花を見て、「きれいだね」と言うときに、「黄色がきれいだね」と言えたほうが、表現としてより豊かですよね。「黄色」という概念とそれを表す言葉を知っていることで、感受性が豊かになり、世界が広がります。

 日本においては、「知的である」ことと、心と体をそれぞれ分けて捉えることが多いように思いますが、それらはすべてつながっています。体力がなくなってくると気力が保てなくなるように、逆に知っていることが増えてくるとそれが自信になって行動が変わってきたりもします。まずは大人が、「知識を得ることは表現力や行動力が豊かになることだ」と理解することが大事です。

 子どもは、自分が興味関心のあることは一気に覚えてしまうことがよくあります。過去にはひらがなをたった2日間ですべて覚えてしまったお子さんもいました。ですから、「幼児に勉強は要らない」という先入観を持たずに、お子さんが興味を持ったことから知を広げていく、という意識で、大人も一緒に楽しめるといいですね。例えば「あやとり」に興味を持ったら、徹底的に付き合ってあげて、親子で色々な「あやとり」をマスターしてみる。そうすることで、「できた」「できない」の結果や評価ではなく、知を得るプロセスそのものを楽しめるようになっていきます。

 一方で、最近のパパやママは、子どもが興味関心を持ったことに付き合う、ということの大切さをご理解され、努力されているな、と思うことがよくあります。

 先日も、新幹線に乗ることがあってホームで待っていたら、小さなお子さん連れのパパやママがたくさんいらっしゃいました。旅行かなと思っていたら、子どもたちに新幹線を見せに来ていたようです。

 知を得るプロセスを楽しむときに、新幹線の名前を覚えたり、動物の名前を覚えたりすることが最初の一歩だとしたら、そこから「知を深めていく」ということも意識していけるといいですね。

 例えば、サッカーに興味を持ったなら、ただボールを蹴る、練習に行くというだけでなく、好きなチームの国の文化、ロゴやユニフォームのデザイン、好きな選手の出身地、そこからスペインという国に興味を持っていく……というように、何か1つの知識が入ってきたときに、それを広げたり、深めたりすることが、本当の学び、勉強なのではないかと思います。

 自ら興味関心を広げ、知識を深めていく思考力をつけるのに、私は「知識マップ」の作成をオススメしています。次ページで知識マップの活用方法を詳しく見ていきましょう。