OFUKU効果で子宝事務所がパワースポットと呼ばれるように

 「南青山たんぽぽ保育所」を運営するハセガワエスティが子宝事務所と呼ばれるのには、もう一つ理由があります。それはやはり、OFUKUの存在が大きい。最後に長谷川さんがOFUKUになった訳を明かします。

 きっかけは28歳で20億円の借金を背負い、崖っぷちに立たされた長谷川さんの目に飛び込んできたカツラと衣装。大学時代から続けていた芝居の舞台で使ったものが、そのときたまたま事務所にあったことがすべての始まり。

 「人生のどん底で、もうどうにでもなれ、という気持ちがあったのも確かです。誰に頼まれたわけでもないのに、ふと、『これを着て、銀座に出かけてみようかな』と思ったんです」

 「地下鉄の中で『どこか変なところはないかな』って車窓に映る自分をチェックしたりして。全身変なんですけど(笑)。ドキドキしながら銀座に向かいました。三越界隈で若い女性に話しかけられ、お茶をすることに。2~3時間も他愛ないおしゃべりをした後、その子が『今度はいつ来るんですか?』って聞いてきたんですよ。そう言われたので、『じゃあ来週ね』と約束して。それが最初でした。そういって別れた後、それまでの暗い気分が吹き飛んで、なんだか理由も分からず、ワクワクしている自分に気づきました。それ以来“はまって”しまい、日本橋や伊勢丹に繰り出しては警備員さんに呼び止められて怒られて……」

 OFUKUに変身することで、自分が変わった。長谷川さんはそう言います。まるで幽体離脱でもしているかのように、真俯瞰から自分を見ているもう一人の自分。「八方塞がりの状況も俯瞰して眺めれば、何とかなる。大丈夫かもしれない、と自然に思えてきた」のだとか。ある日、とあるバーで神秘的な女性から「お福!」と呼び止められたのがきっかけでOFUKUと名乗るようになったそうです。

 「OFUKUになることで、どんな困難も『大丈夫、何とかなる』とちっぽけなことに思えてきた。もともとは自分自身を鼓舞するために始めた格好でしたが、次第に『OFUKUに会うと元気になる』『幸せになる』という言い伝えが一人歩きし始めたんです。なんだか、人のためにもなっているようだ、と気づいたとき、OFUKUの存在が自分の中でどんどん大きくなっていきました」

OFUKUに扮した長谷川高士さん
OFUKUに扮した長谷川高士さん